【太宰治】.隣.の.寝.台.の.あ.の.子.【文豪ストレイドックス】

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3月、とうとう春の季節が本格的にやってるくる頃、青年_________太宰は、手に花束を抱えて、足取り軽く、時折鼻歌を歌い乍とある場所へと向かって居た。
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太「...何だかこの扉も懐かしいなぁ」
着いた所は、とある病院の一室の前。




其処で太宰は一度深呼吸をし、身嗜みを確認してから、再度深呼吸をし、軽く扉をノックした。







貴『どうぞ』








部屋の主からの返答を聴き、嬉しそうに戸を開けると、
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貴『お久しぶりです、太宰さん』

数週間ぶりに見る、愛しい愛しい少女_________如月Aの、変わらぬ姿が其処には居た。
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太「やぁ、久しぶりAちゃん。
身体の方はどうだい？苦しくない？」

貴『お陰様で、最近処方された薬が、私の身体に合っているみたいで、前より動悸も減りました！』

太「其れは良かった！但し、無茶だけはしないでね？
面会謝絶何かになったら、私が会いに行けなくなってしまうから。」

貴『ふふっ、大丈夫ですよ。分かってます！』

太「そう云えば、先刻(さっき)近くの花屋で、Aちゃんに似合いそうな花束を見付けて買ってきたのだが...
一寸大き過ぎたかも」
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そう云って太宰が差し出したのは、春の季節に咲く、紅く染まった花達を纏めた花束だった。
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貴『えっ、良いんですか？こんな綺麗な物頂いちゃって...きっと高かったでしょう？』

オドオドし乍Aが聴くと、太宰はふっと微笑み、



太「大丈夫だよ。私は其処迄金持ちじゃあ無いけれど、美人な女の子一人に渡す花束を買う位のお金はあるさ」

と、何時もの調子の口説き文句で返した。
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すると、Aは頬を赤らめ、窓側へとそっぽを向いてしまった。


貴『太宰さんは狡いです...そんな格好良い事さらりと云うなんて...』

太「Aちゃんは照れてると直ぐ分かるんだよねぇ。
必ず目線を合わせようとしないんだから」

貴『っ、ぅぅぅ五月蝿いです！』
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暫く顔のほとぼりが冷める迄会話していると、

太「まぁ、少しでも綺麗な花を見て、Aちゃんの病気が治ればなぁ...なんてね？」



そう云って太宰が微笑むと、Aはキョトンとした顔で



貴『私は十分、太宰さんと云う綺麗な人を見ていますが...』
と答えた。
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流石の太宰も其れは予想外で、今度は太宰が顔のほとぼりを冷めなければならなくなった。

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