swlming７ ページ33
会社の車に乗る。
車だから二人だけの空間。
「ね、なんで昨日帰ったの」
今しかないと思って、きいてみる。
「…あの、わたし、二宮さんの事が好きです」
「………あっぶね！」
突然の告白に、事故りそうになった。
知ってた、知ってたけど！なに！
「大丈夫ですか？」
「…うん、大丈夫。で？」
「あぁ、えっと……風の噂で、ですよ？」
「うん」
「女の子を取っ替え引っ替えしていらっしゃると、あの……営業一課の先輩方が」
「んなわけねぇじゃん！なんであのクソ女たちと！」
「クソ女……？」
あ、やべ、Aの前ではやめとこうって思ってたんだけど、出ちゃったよ！
「あ、ごめん、こっちの話」
「……それで、わたしも、あの……」
「ん？」
「……二宮さん引かないでくださいね」
ごくり、生唾を飲む。
「抱かれたいなぁ、と……」
「……」
「それで、いざ誘ってみると恥ずかしくて居た堪れなくて、お先に失礼しました……」
ちら、と横を見ると手で顔を覆ってるA。
まじかよ、なんだよそれ！
車の時計を見ると、まだ約束の時間まであった。
近くの駐車場に車を停める。
「……A」
「……」
「あのね、おれ、予知能力があるの」
「…え？」
「明日起こる事が夢に出てくるんだよね」
「……」
「今日、ペアのことも日曜の夢に出てきてたから知ってた」
「え！」
「でもね」
ぎゅ、とAの手を握る。
「Aを抱いてから夢見れなくなっちゃったんだけど、どう責任取ってくれんの？」
「ど、どうって……」
「好きだよ、A」
手を離して後頭部と腰を抱いて、顔を近づける。
「キスしてみてよ」
「でも、ここ……」
「誰も見てるとは思うけど、大丈夫だよ。責任取ってくれんでしょ？」
目を閉じて、そっと唇を重ねる。
離れようとした、Aを力強く抱きしめた。
高校生の時に夢を見た。
初めて恋人ができる夢の続きが、結婚式挙げる夢だったの。
てっきり、その時は、初めての恋人の人かと思ってたけど違ったや。
「付き合おっか」
「……うん」
よーく見たら、その人ね？
おかっぱのメガネかけた可愛い女の子だったよ。
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作者名：緩雨 | 作成日時：2017年6月12日 19時
