【ヒロアカ】月下美人は空を見せたい2 (ページ15)

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54話ページ15

出「あの・・・ごめん・・・本当に・・・」

しょんぼりとした顔で謝る出久に、お茶子と発目さんが何かを指し示していた。

「ん、どうしたの2人とも」

常「緑谷。おまえの初撃から、轟は明らかな動揺を見せた。100万を取るのが本意だったろうが・・・そううまくはいかないな」

出「！？」

「まさか・・・！！」

常「警戒の薄くなっていた頭の方(持ちP)を頂いておいた。ーー緑谷。おまえが追い込み、生み出した轟の隙だ」

《4位緑谷チーム！！以上4組が最終種目へ・・・進出だああーーーー！！》

出久がまたも膝から崩れ落ちる。今度は、喜びで。

「よかった・・・本当に、よかった」

《1時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ！じゃあな！！！》

「ん、あれ？出久は？」

お茶「ほんとだ。どこいったんだろ」

「ま、とりあえずお昼ご飯食べよっか」

　お茶子と一緒に食堂で昼食を済ませたAは、残りの休憩時間をぶらぶらと歩いて過ごしていた。今日は天気が良い。むしろ日差しがちょっと強いと感じるくらいだ。

　体育祭が行われている会場は、外から見るとドーム状になっている。ちょっと前にテレビでやっていた、一昔前の“なんちゃらドーム”っていうのに似てるなぁ、と思いつつ、自分より遥かに大きいその建造物を見上げながら歩いた。

　いいかげん、首が痛くなってきたので正面を向いて歩こうとすると、視界の隅に、見覚えのあるシルバーグレーが映り込んだ。

「え・・・？おにい、ちゃん？」

　気づけば駆け出していた。さっきのは間違いなく髪の毛だ。確か、そこの角を曲がっていったはずーー

「はあっ、はぁっ・・・いな、い？見間違い、か。はは、寂しんぼかよ」

　たどり着いた先は、行き止まり。そこに人影はなかった。

「そろそろ休憩時間も終わりかな。戻らないと」

　回れ右をして、行き止まりから出ようとしたとき。

　目の前に、真っ黒な影が立ち塞がった。

「誰・・・！？」

　身を守るため、構える。が、次の瞬間、その人影は目の前から消えていてーー

「ん"っ！？」

　後ろから、羽交い締めにされた。口元になにやら布を当てられ、薬のような匂いが鼻腔をツンとさす。

　Aの意識は、そこで途切れた。

《昼休憩も終了！最終種目発表の前に、予選落ちの皆へ朗報だ！

あくまで体育祭！ちゃんと全員参加のレクリエーション種目もよういしてんのさ！ーーん？アリャ？

どーしたA組！？》