道化は〔わらう〕【文スト】〜青の時代編〜 (ページ38)

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「此れで自殺願望との賭けは俺の勝ちだ。」
此の声は中也だ。
「犯人は手前だ。蘭堂。」
受け身を取った蘭堂さんを少し離れた位置で見下げる中也。
「俺の目からは、逃れられねえ。」
厭〜良い言葉(セリフ)やなあ。
てか此の為に頑張って壁に付けた盗聴器と隠しカメラ生きとるかな。
まあ俺の服のポケットの中にある録音機があるしええか。
「あんたが嘘を付いてた事くらい、とっくにお見通しだ。」
「はーい、ストッープ。」
ん？と中也は後ろを振り返る。
「手前っ！何でこんなとこに居ンだよッ！」
「俺も居るで〜。」
そう云いながら中也に向かって手を振る。
「云っておくけど、犯人告発は僕の、僕等の方が先だからね。」
そう云って中也と少し離れた処まで歩く治。
俺はと云うと、治とは少し離れた処に居る。
「今正に、犯行現場の説明をして居る最中だったんだから。」
「最中って事は未だ終わってねぇンだろ？だったら俺の勝ちだ。」
「君の勝ちって云うのは有り得ないけど、推理は聞いてあげるよ。何で蘭堂さんが犯人だと思った？」
「推理も何もねえ。奴の話を聞いてりゃ誰でも判る。」
「此れまでの目撃証言は先代の爺さんを見たって云う話ばかりだ。だが其奴は、荒覇吐本体を見たと云った。」
「神などと云う者は存在しないから私を犯人だと考えた。そう云う事か。」
「ちげぇよ。逆だ。」
ん？と疑問を持つ蘭堂さん。
「神は存在するからだよ。」
「俺は其れを知ってる。」
「荒覇吐が存在する事を君は知っているのか。」
「嗚呼、あんたも見たんだろう？8年前の彼奴を。出なきゃ彼処まで正確な姿を証言出来る訳無えからな。」
中也君、と云いながら蘭堂さんが立ち上がる。
「ならば君は知っているのか。荒覇吐が今何処に居るのかを。」
「教えてくれ。」
「知っているなら教えてあげなよ。」
横から口を挟む治を見る中也。
「どっちにしろ、蘭堂さんはポートマフィアを危機に晒した罪で処刑されるんだ。」
「ったくっ！どいつもこいつも何であんな奴に会いたがる。彼奴には死人を蘇らせる力なんか無え。其れどころか人格や意志其の物が存在しねえんだ。台風や地震と同じだ。」
「人格など問題無い。」
ん？と蘭堂さんを見る中也。
「大いなる破壊。地を焼き、空を染め、大気を震わせ、理解の及ばぬ彼岸の者。其の力だけで、私には十分なのだ。教えてくれ、中也君。」
「人知を超えた存在。私を焼いた者は何処に居る。」
其の言葉を聞いた中也は蘭堂さんの近くに歩いていく。