道化は〔わらう〕【文スト】〜青の時代編〜 (ページ14)

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ども。只今ポトマの最高層階に居ます。
わー景色ええなあー。
今日いつも通り出勤したらこんな処に連れてこられたんやけど。
まあ、森さんの共犯になるんやろうな。
あ、そうそう。
俺って不死身なだけやないねん。
あの後、寝て起きたら綺麗さっぱり傷無くなっててん。凄いやろ。
んで色々実験したら、かすり傷程度やったら数分で治ることが判明っ！
唯、めっちゃ眠くなるけどな。
わー俺ってチートやなー。
そんなこと考えていると、森さんが現首領の部屋に入ったから、付いて入る。
そして、太宰さんの横に立つ。
そして振り返る。
真っ赤で大きい綺麗な月やなぁ。
もしこの月が此処に、地球にぶつかったら俺ってどうなるんやろ。
地球とか皆と一緒に死ぬんやろか。
否、もし死なんかったら宇宙空間に彷徨うことにならん？こわっ。
にしても手が届きそうな程近いなぁ。
そう思いながら手を伸ばすが、月には届かない。
ちぇ。やっぱり届かんか。
紅い月、なんかお前に親近感湧くわ。
紅い月、赤い瞳。
そんな事を考えていると横から突かれた。
「ん？如何されたのですか？」
「森さんが呼んでる。」
「Aちゃん、お願いしても良いかな。」
お願い？嗚呼、そう云う事か。
「異能力『願う者』。」
「はい、これでいいやろ？一応病死に見せかけたで。」
「ありがとう、Aちゃん。」
これで手間が省ける、と云う森さんに一つ、疑問をぶつける。
「なあ、森さん。俺は不死なんやで？なんで俺を共犯者にしたん？共犯者なら死にたがりの其処の彼だけで良いと思うんやけど。」
俺の妙に明るい声が、疑問が、質問が元首領の遺体が有る重く暗い空間に響く。
「君の異能が必要だったからさ。」
「あっそ。どうせこれ以上は教えてくれんやろし答えはそれだけでええや。さ、早く帰ろ。」
帰ろうとドアの前まで行くが、ふと振り返る。
「森さん、今回の御礼はいつも通り甘い物な。」
判ったよと、苦笑する森さんを横目に見ながら太宰さんを見る。
太宰さんは紅い月を背後に無表情で、尚且つ光の無い目で永久の、覚めることの無い眠りへとついた元首領を見ていた。