第四話 ページ7
Side瑠璃川
廊下に一冊の本が落ちていた。
唐突だなおいって感じだけど
しかも微かに動いている…気がするな。まるで両手ですっぽりと包めそうな平たい何かがその本の下にいるような感じだ。
手に取ってみると紙が傷んでいて随分読み込まれているという印象を受ける。開いてみるとびっしりと英単語が並んでいる。六割くらいしか知ってる単語がないし(中身の)意味が分からないが…
裏を見ると名前らしき物が書いてある。
難波 命
同じクラスにそんな名前の子がいた気がすると思い、スマホをだして調べてみると確かに同じ名前の生徒がいた。
この時間帯だと部活中だろうか?
こんなに分厚くて持ち歩くのに苦労しそうな上、内容も難しい英語の本を持っているということはきっと勉強熱心な人なんだろうなぁと思いながらも面識があるわけでも現在地もわからない生徒。
そんなことは明日でもいい筈なのに何故か
「きっと大切な本なんだよな…早めに届けないと。」
小さく今にも消えそうな小声で呟いた途端、左手から黒い絵の具が噴き出した。
「はぁっ?」
意味がわからないよ??ドッキリかな?
その黒は導くかの様に一本の線を描き廊下を這う。
側を通ると透明になり消えていった。
まるで妖怪でもいるようだ、と現実味のないことを考えながらその線を追いかけた。
段々細くなったそれはとある教室の前でピタリと消えた。
『特撮ヒーロー同好会』
*******
「へぇ…まだ出来たばっかりなのにこんなに部員いるんだ、凄いね玉田くん。」
「いえ、ボク以外はYSPクラブっていうクラブとあともう一つ別の同好会の生tひょえっ瑠璃川先輩!?」
「ひょ…?どうかしたの?」
「いやいやいやいつからいたんですか先輩!」
「さっき…あ、もしかして邪魔だったかな?皆何もいないところに向かって喋ってるし、撮影してるとか?」
「そんなことないですけど…」
玉田くんは一瞬驚いたような顔をして、それから何かに納得したように一人で頷いていた。
「ところで難波命さんって人を探してるんだけど知らない?」
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