第十二話 ページ15
side瑠璃川
寺刃くんが突然
「変身!」
と叫んだ。腕を左右逆向きに回している。彼の後ろから細長い何かが飛び出しその身に纏う。
その瞬間、僕の目から彼の姿が消えた。
*
ここからはボク玉田マタロウ視点でお送りします!
桜吹雪が舞い、紅きヒーローが現れた。
「赤く染まったこの体おヌシの血で更に赤くなる…の巻き!」
「消えた?」
この変身何度見ても…く〜アがるーッ!
「マタロウ君!ストップ!!」
コマ君にそう言われ、ボクは我にかえる。自分の手元をみるとボクは無意識に瑠璃川先輩の胸ぐらを掴んでいた。先輩は魂が抜けたように呟いている。
「難波さんの様子が気になってついていってみたら、発砲音が聞こえて、しかも皆戦ってるみたいだし寺刃くんは姿が消えた…奴のコードネームはY…とか考えてたら、急に推しが接近して…、ともかくすごいいい匂いがするし、私の気持ち分かる??ありがとうございます!」
どうやらボクは突如現れた敵を倒す紅丸を見て興奮のあまり先輩を揺すった様で、先輩は混乱している。申し訳無いな…
一、二体ほどしかいなかったようであっさりと勝敗がついたらしい。
「紅に散れ」
紅丸は刀をおさめ戻ってくる。
「ジンペイ君、お疲れ様!」
「おー、マタロウ大丈夫だったか?」
「玉田君!」
ジンペイ君にかけよると瑠璃川先輩も走ってくる。手を振ると、何故か必死の形相の先輩は
「ツォール、バリア!」
と叫んだ。ボクの傍にいた怨霊ツォールが弾けた。敵襲だ。
「ツォールくん」
鋭く先輩が呼ぶと、ツォールの姿が溶けインクとなり敵に纏わりつく。インクにより動きが遅くなった敵を先輩は(私怨を籠めて)殴り飛ばす。一瞬痙攣したそれは、動かなくなった。
「大丈夫?玉田君…僕にも直接見えればなぁ…」
そう呟く先輩の背後に、更なる敵が牙を剥く。
再び変身した紅丸はそれを切り、他の敵に向かおうとした。
「提案なんだけど、全部を倒さず泳がせるのはどうかな?」
「どういうことですか?」
そう紅丸に提案した先輩にコマくんが尋ねる。それにしても視えない先輩がなんで敵襲に反応したんだろう。
「蜜山が『友達』と会う予定があると向かった先にあの怪物がいた、そして難波さんの行動…タイミング的にも先生失踪事件に関わっている可能性がある。勿論、巨大なコロニーを築いているとしたら危険な賭けになるけど、増員がこの程度だと考えると…聞いてる?!」
「なんか長かったみたいで…」
苦笑いするボクの後ろでは紅丸達が敵を殲滅いている。
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