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或る女の器 ページ43

ふわふわとした感触を感じて目が覚める



目の前に映るのは真っ白な天井



「やっと起きたか」



声がする方を見ると硝子がそこにいた


『硝子……』


「随分派手にやったみたいだな。上がかんかんだったぞ」



派手にやったっていうのは悟の虚式 紫 のことだろう



あのとき帳は下ろされていなかった



当然、騒ぎは一般人に届いたに違いない



『硝子…あれから何日経った?』




「丁度今日で1週間だ。色々と大変だったんだぞ特に悟が」



悟が…?


「詳しくは本人に聞け」


それだけ言うと硝子はひらひらと手を振って出て行った



身体を起き上がらせて外を見ると夕暮れが近づいていた


自分の胸に手を当てる



今まで感じていた蟲神の気配は全く感じられない




蟲神は祓われた




もう、私は蟲神の器ではない




そして呪術師でもない




持っていた私の役割は一夜にしてなくなってしまった


蟲神のことは勿論玉蟲家に伝わっているに違いない



200年待った蟲神の登場を私は台無しにしたのだ



勘当だけでは済まないだろう



そうしたらどうしようか



そんなことを考えているとガラッと扉が開く音がした

或る女の末路→←或る女と別れ



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作者名:雪燐 | 作成日時:2021年1月2日 15時

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