或る女の怪忌憚【呪術廻戦】 (ページ37)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:45,306 hit

・ページ37

「嫌だね」

はっきりと断ると女は「そうですか」と答えた

「でしたらこちらもそれ相応の対処をしなければなりません。お嬢様にはまだ利用価値が残っているので」

そう言うと女は左手から数匹の蝶が現れた

「へぇ～その蟲使って僕のこと殺してAを奪うって算段？」

「殺す…なんてそんな恐れ多い……少し動けなくするぐらいです………っ！！！！」

女が話している途中で女の右脚を術式で潰した

「っ─────！！」

女が悲鳴をあげる

その姿を

「お前のことはグッチャグチャに殺してやりたいけど、そうしたら中の奴が面倒なことになるからこれぐらいで勘弁してやるよ」

本当はAを傷つけたこの女を肉塊になるぐらいグッチャグチャに殺したい

けれど中にいる蟲神

あれは僕でも手を出すのを躊躇う

呪力量とかそういうのもあるけど理由は別にある

それは昔、Aが一度に話してくれた蟲神を殺せない理由にある

────────────

『蟲神って存在は水なんだ』

「は？」

任務終わり迎えを待っていると唐突にAがそう言った

『ほら、水って形を持っていないじゃない？器に入ればその形に収まるでも………』

Aは持っていたペットボトルを逆さまにした

口が開いたペットボトルからはドバドバと水が落ちていく

『器がなければそれはただあるがままになる』

落ちた水はコンクリートに染み込んでいく

『蟲神も同じ。私という器があるからこそ蟲神としていられる。そして器がなければ蟲神は存在しない

けど

器が壊された時は別

水は器が壊れれば形を保てなくなり零れてなくなる

けれど、蟲神はその身が崩れる最後の最後まで

己の毒を持って人間を惨殺する』