或る女の怪忌憚【呪術廻戦】 (ページ19)

今日:10 hit、昨日:4 hit、合計:45,309 hit

・ページ19

両腕を捕まれ床に押し付けられる

目の前には馬乗りになる悟

「言っとくけど僕はまだお前のこと許してないからね？勝手にいなくなって一体僕がどれだけ寂しい思いしたと思ってる？」

上から冷たい視線を降ろす悟に私は淡々と答えた

『そんなもの…私が知るわけないじゃない』

嘘だ…知ってる

大切な人が離れて悲しむ悟の姿を私は見ているから

私が悟の前からいなくなったのは夏油が離反した直後

唯一無二の親友と離れて失意のどん底に落ちている悟を更に落とすが如く私は悟の前から消えた

親友がいなくなった直後、私が理由も無く悟の前から消えたのだ

親友程では無いが悟には寂しい思いをさせてしまったと思っている

そんな後ろめたい思いがあるからと言って今更一緒にいるなんてことはしない

だから私は敢えて冷たい言葉をかけた

『悟がどんな思いをしていたとしても私には下らないし如何でもいい』

「自分が不利な立場にいるのに随分な言葉だね……その生意気な口聞けなくしてやろうか？」

私の言葉に腹を立てたのか悟はドスの聞いた声でそう言う

そんな悟に何か言い返そうとしたその時──

ぐっと悟の顔が近づいたのと同時に口の中に生暖かいものが侵入した

『ん？！………ん………んぅ……』

それがキスだとすぐに気づいた

必死に抵抗するが身動きの取れない私は悟の思うがまま

私の口内で悟の舌が暴れだし私の酸素を食らう

息苦しさで涙が溢れる

ジュル…ジュル…と唾液が音を出し、息も限界になった頃にようやく悟は唇を離した

「こんなので息切らしてるなんてもしかしてハジメテ？」

舌なめずりをし見下ろす悟

その下で私はただ息をするばかり

涙目で悟を見ると「いいねぇそれ堪らない」などと言い悦楽の笑みを浮かべる

「ねぇ…このまま進めちゃったらAはどうなるのかなぁ？」

するりと厭らしく誘うように私の下腹部を撫でる

このままでは私は悟に喰われる

危機的状況であるにも関わらず私は至極冷静にそして冷淡に声を出した

『言っとくけど……悟が何をしようと私が悟のものになることはないよ。

玉蟲家を丸め込もうが、こうして私を押し倒して無理矢理ヤッてもそれは私の身体が手に入るだけ……

私(心)を手に入れることはできないよ』

それでもいいなら好きにすれば？

そう言って悟に全てを委ねるように身体の力を捨てた