或る女の怪忌憚【呪術廻戦】 (ページ13)

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或る女と蟲神様ページ13

「お帰りなさいませお嬢様」

家につくと楓が玄関で出迎える

「いつもの通りお風呂の準備はできております」

『ありがとう』

楓が用意した風呂場へ急ぎ着物を脱ぎ捨ててすぐさま浴槽に浸かった

自分が招集したとはいえ、あの場はいつも疲れる

蟲神様という立場で爺共から崇められることにはもう慣れた

蟲神様は玉蟲家が代々奉る特級呪霊だ

蟲神様を奉る玉蟲家では代々伝わるある儀式がある

蟲降ろし

玉蟲家の子供に呪力を持つ蟲を食べさせ、蟲神様の力を得る儀式だ

蟲を食べた子供は2つに分かれる

ひとつは蟲が合わず命を落とす子供

もうひとつは蟲に馴染み、呪術師として才能を咲かせる子供

私は後者だが、その中でも私は異質だった

蟲を取り込むと必ず蟲の呪力に苦しみ悶える

どんな子供もその苦しみを味わった

けれど、蟲を取り込んだ私はそのような苦しみを味わうことはなかった

蟲を取り込んでもけろっとした顔をしている私を見て爺共は驚きある一人がこう言った

「蟲神様が現れた」

その日から私の生活は一変した

蝶よ花よと大切に育てられ、蟲神様として崇められる

でも、そんな生活ももうそろそろ終わりへと近づく

後、半年か一年

もうすぐ蟲神様が目覚める

蟲神様が目覚めたその時

玉蟲Aという存在はこの世から消滅する