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「なっ…なんだあれ!?」
「向こうの広場で爆発が…!!」
「テロだ!!」
「攘夷派のテロだァァ!!!!」
あっという間に祭りの会場はパニックになり、逃げ惑う人で大騒ぎになった。
えりは沖田と目を合わせ頷いた。
『民間の人達の安全誘導に行くね。総悟は』
「近藤さん達の方に戻りまさァ」
『神楽ちゃん達も安全に避難を。』
えりは2人の返事を聞く前に駆け出し、零番隊の隊員と連絡を取り合い、民間人を安全にそれでも急いで避難させていた。
ドンッ
『っすみません!!』
途中、ぶつかってしまい慌てて謝りつつ、誘導のためにその場から急いで離れていった。
「______」
その男は、えりの姿を見て、酷く大きく目を見開いたあと、
にやりと笑った。
「……まさかこんなところにいるとはな……」
喉の奥で笑うと、その男はふらりとどこかえ消えた。
それから数時間がすぎ……
騒ぎが落ち着き、街の人たちの安全も確保出来たため、ひとまず屯所に戻って警察署に伝えたり、主犯と見られる平賀源外の指名手配の措置をしたりと大忙しだった。
祭りは一旦中止、後日また行われるとの話が町内会議で上がっているらしく、先程真選組にかぶき町内会の人達が相談しにきた。
全てのことがやっと終わった頃にはすっかり夜も深けており、えりは近藤と土方に今度休みを入れるからしっかり休めと、再び半休が潰れたことに関してはお祓い行ってこいと言われ、部屋を後にした。
「お疲れ様でさァ」
『!!、総悟……!まだ起きてたの?』
えり達よりも早くに姿を消していた(土方はどうせサボってるどのこと)沖田がえりの部屋の前で待っており、えりが駆け寄ると、沖田は祭りの時に射的で手に入れていた三毛猫のぬいぐるみをえりに渡した。
「さっきとった奴は騒動で切れちまったらしいから、新しいのマダオがくれやした」
『えっ、わざわざ……ごめんね…』
「謝らないでくだせぇ。俺がやりたかっただけでさァ。」
『……ありがとう、総悟』
「へい。んじゃ、おやすみなせェ」
『おやすみ。』
ヒラヒラと沖田は手を振り、自室へと帰って行った。
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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時