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お祭りに事件は付き物(なって欲しくないが) ページ30

賑やかな祭囃子が江戸の河川を彩り、大人も子供も楽しげに人混みに紛れていく……

「そんな中で俺らは警備ですかィ?」
『仕方ないよ。
将軍様がこのにぎやかな江戸のお祭りをみたいと仰ったのなら私たちはそれを護るために動く。

それが江戸を守る真選組の役割なんだから。』
「相変わらず、えりは真面目でさァ。」

えりは真っ直ぐに楽しげに祭りを回る江戸の人たちを眺めそういうと沖田は真面目だと言って持ち場から離れていった。

『(ゆっくり見て回れないのは残念だけど……やっぱりお祭りって賑やかだなぁ……)』

晴天に恵まれ、星空が瞬く中の祭りはとても綺麗で、えりは目を細めそれを見つめていた。

「おーい、えりー」
『近藤さん、土方さん、どうかしましたか?』
「警備のことなんだが、あと二、三十分したら一旦抜けていいぞ。」
『え!?で、ですが』

近藤の話に驚いたようにしていたが土方がその理由を説明した。

「えりは毎年祭りになると警備に最初から最後まできっちり取り組むからな。ちっとは年頃の娘達のように遊んでこい。わかったか?」
『…ありがとうございます!!』

真選組零番隊隊長とはいえ、まだ18のえりは目を輝かせ近藤達に礼を言った。

「…トシ、えり、総悟の奴がウンコしに行くっつったっきり全然戻らんのだが。」
「あの野郎、またどっかでサボってやがるな。そして近藤さん、年頃の娘のえりの前でうんことか言わないでくれ。」
『土方さん、それくらいは大丈夫ですよ。』
「トシ、他のだれを疑おうとかまわんが、仲間を疑うことは俺が許さん。俺は総悟を信じる。きっとうんこのキレがものスゴく悪いんだ俺はそう信じたい!!」
「そんな信じ方されるくらいなら疑われた方がマシだと思うがな…
ふつーに返しちまったが近藤さん、えりの前で下品な言葉あんま使わんでくれ。」
『(総悟、サボりかぁ……)』

後で近藤や土方に頼み込み一緒にまわれたら、なんて思っていたが無理そうだと諦め少ししょんもりとしていた。

「それより山崎の野郎おせーな。」
「なんだ?なにかあったか?」
『山崎さん、御手洗ですか?』
「いや…たこ焼きが食いてーってお上がよォ」
「…ったく呑気なモンだぜ。」

「副長ォォ 山崎ただいま帰りました!!」
「おせーぞ!!マヨネーズもちゃんとつけてもらったろーな!!」

そう言って山崎が買ってきたたこ焼きの箱を開けるも…

「…………オイ、これ…」
『3つしかありませんね…』

箱の中身を覗き込んだえりがそう言った。

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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時

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