安倍晴明の血を引き継ぐ者

＊ ページ49

「(えぇぇぇっ!?全っ然、嬉しそうじゃないっ!?)」
「はーい、京都の皆さーん。これが“宿儺の器”、虎杖悠仁君ですよー。」

そう紹介するも、京都校の生徒はみんなお土産に夢中で虎杖のことは目に入っていなかった。

「(お土産に夢中ーー!!)」
「宿儺の器っ!!どう言う事だ!!」
「あっ、楽巖寺学長っ!!いやぁ、良かった良かった、吃驚して死んじゃったらどうしようかと、心配しましたよ。」
「糞ガキがっ……!!!!」
『五条先生……。』
「……え?A?」

大激怒する京都校の楽長にシャレにならない五条の煽りにAは初めて五条に対してドン引きし、距離をとるように数歩後ろに下がった。

「おい。」

虎杖が立つ箱を釘崎が思いっきり蹴った。Aは慌てて止めようとするも、伏黒達にとめられていた。

「何か言う事あんだろ。」
「えっ?」

釘崎は怒っているが目に涙を浮かべていた。Aはそれを見て大人しく止めるのを辞めることにした。おそらく、伏黒も同じ気持ちなのだろう。

「生きてること、黙っててすんませんでした……」

虎杖がそう言って謝っていると、「だからやめた方がいいと言ったじゃないか、悟。」と階段の方から声が聞こえてきた。

「夏油先生。」
「でも、傑だって面白そうだーって言ってたじゃん。」
「面白そうだとは言ったけど、実践しようとはいってないよ。」

「あの、これ、僕来ても、大丈夫……だったんですか?」

『!!』
「そうそう!!東京校の皆さんには新しいお友達が入りまーす!!
吉野順平くんでーーす!!」
「よ、吉野順平です。よろしくお願いします。」

吉野が夏油と共にやってきて東京校の生徒全員の注目を集めた。虎杖のサプライズ(失敗)計画＆学長への煽りの後だったため、とても肩身狭そうだった。

『…あの時の……』
「A、知ってんのか?」
『うん。この前の任務で』

「そしてそして!!ここで重大発表しちゃいまーす!!全員注目ーー!!」

いきなり五条に伏黒とAは注目を集めるように前に出された。

「今年の1月に、正式に安倍川家次期当主様になることが決定した安倍川Aちゃんと、その許嫁の伏黒恵君でーす!!!!」

ｼｰﾝ……

今度こそ、東京校、京都校、どちらの空気も凍りついた。

伏黒は五条を思いっきり蹴っていたが、無限に邪魔をされて本人に蹴れない状態で、Aは何が起こったのか状況処理が追いつかずキョトンとしていた。

が、理解すると、Aはぺこりと頭を下げた。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す