小咄 ページ38
ー……グスッ……ヒック…ー
屋敷の大きな縁側、柔らかな光が差し込む所から離れた部屋の奥、幼い少女がしくしくと泣き続けていた。
柔らかな黒髪、宝石のように赤い瞳、日焼けを知らない雪のような肌、そして身に纏う可愛らしい小桜の着物を着て遠巻きから見てもとても愛らしい子供だった。
が、その幼い子供はしくしくと泣き続けていて、ポロポロと大粒の涙が地面に落ちていた。
ーまーた泣いてんのか?お嬢様はー
スっと音を立てず、襖が開き口元に傷のある男と幼い少年が立っていた。
ーヒック……とーじさん……?ー
ー…どうしたの?ー
ーヒック……こーせんにいってたときに、そとにでたらジュレーが、おいで、おいでって手をひっぱって…さとるおにーちゃんがたおしてくれたけど……また……ー
怯えたように縁側の向こうを見ると、結界がはられて居ない向こう側の方で呪霊が手招きをしていた。
それを縁側前にいる少女の呪術で呼び出した式神の1つが唸ると姿を消すものの、また現れ手招きしていた。
その男と少年が言われるまで気づかないほど生み出されたばかりの呪霊だった。
ーチッ、倒してくるか。ー
そう言って男は少年を残して呪霊の方に向かった。
男が離れると、少年は少女に駆け寄りいつの日かのように手を握った。
ーだいじょうぶ。おやじがじゅれいたおしてくる。ー
少年が手を握りしめると、グス……と泣いていた少女が顔を上げた。
ーつぎ、そとにいくときはおれも行く。そうしたらもしじゅれいがよんでもすぐに手をつないでそこからにげることができるから。ー
ーグスッ……うん……ー
コクコクと頷いた少女を見ると、少年は繋いだ手をそのままに学校でのことを話し出した。
ー倒してきた。もう居ねぇよ。ー
ー………ー
不安そうに外を見る少女の腕を引き、少年は外に出た。
ー…いな、い…!ー
先程まで泣いていた顔がパァ…と少し明るくなり、少年の方を向いた。
ー……もう怖くないか?ー
ー……ううん…ー
ーじゃあ、こわくなくなるまでいる。ー
ーいいの?ー
ーやくそくしただろ、こわくなるなるまでそばにいてまもるって。ー
ー!!ー
少女は頷きようやく笑った。
ーありがとう。ー
ー………////ー
顔が真っ赤に染った少年を男はニヤニヤと笑ってみていた。
ーA様、恵様、耀哉様がお呼びですよ。ー
少年と少女ー伏黒とAはお互いの手を離さないように繋いで耀哉の元に駆け出した。
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星空(プロフ) - Tyinaさん» やっぱりですか!そうですよね、鏡花ちゃんと夜叉白雪良いですよね(紅葉姐さんの金色夜叉も素敵です) (2021年5月30日 23時) (レス) id: ad3ae7d03c (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 星空さん» あ、わかっちゃいました笑、私、鏡花ちゃんの夜叉白雪がめちゃくちゃ好きで、人型の術式=夜叉白雪、みたいなところがありまして笑 (2021年5月30日 23時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
星空(プロフ) - 夢主の術式の夜叉白雪、、、文ストを思い出しました笑(そういうつもりは無かったら申し訳ないです…) (2021年5月27日 18時) (レス) id: ad3ae7d03c (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!!こちらのミスで非表示になってました! (2021年4月29日 11時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - さきんちょさん» 喜んでいただけて幸いです!もう少しあとの予定にはなりますが過去編を作る時、耀哉様を今よりも出す予定なので、待っててください! (2021年4月29日 11時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tyina | 作成日時:2021年3月27日 20時