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「総悟、えり、お前ら今日は休んでいいぞ。
せっかく来たんだ。ミツバ殿に江戸の街でも案内してやれ」
「ありがとうございます!!」
『近藤さん、総悟はミツバちゃんの弟なので分かりますが、なぜ私も……?』
「ミツバ殿の友達なのだろう?それにここ最近連勤続きだったそうじゃないか。ミツバ殿と総悟と羽を休めてきなさい。」
「そうよえりちゃん。せっかく会えたんですもの、お手紙以外でももっとお話聞きたいわ。」
『…じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。』
「ささっ、姉上!!」
「え?」
『総悟、まって!』
ミツバと共に部屋から去っていった沖田とえりを見送った山崎は、「なんですかありゃ…」と引いたような表情のまま、近藤に聞いていた。
「アイツはなァ、幼い頃に両親をなくしてそれからずっとミツバ殿が親代わりだったんだ。アイツにとってはお袋見てーなもんなんだよ。」
「沖田隊長は分かりましたが……どうして松田隊長も?」
「記憶を失って武州でさ迷ってたえりを助けたのはミツバ殿でな。1人って知った途端、総悟と同じように世話焼いて面倒見てやってな、えりにとっては命の恩人であり、姉のような存在なんだよ。」
「!!…そうだったんですか…」
「今日くらいいいだろ、男にはああいう鎧の紐を解く場所が必要なんだ。
特にアイツのように弱みを見せず方意地張って生きてるやつほどな。
えりもそうだ。自然と振舞ってるようで記憶を失ってることは変わらずデカい。出会った当初から一緒にいたミツバ殿といりゃ、少しは気が抜けるだろう。」
「…………分かりました。」
「姉上!!次は…」
「そーちゃん、少し待って、ここのお店見てみたいの」
「はい!!分かりました姉上!!」
「えりちゃん、一緒に着いてきてくれる?そーちゃん、ちょっとまっててね。」
『はい!!』
ミツバの手を引き、あちらこちらを教えて歩く総悟とえりは、小物屋の前で止まり、ミツバはえりと共にその店に入ると、一つ一つを真剣に見つめていた。
『……ミツバちゃん。』
「ん?どうしたの?」
『ミツバちゃんだったらこの3つの中でどれを選びますか?』
えりが指さしたのはミツバが特に熱心に見ていたもので、ミツバは不思議そうにしながら「これかしら…」と桃色の飾りの着いた簪を指さし、えりは迷うことなくそれを取ると、会計に持っていった。
『ミツバちゃん、これ、私からのプレゼントです。』
「まぁ……いいの…?」
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lua(プロフ) - pixivから来ました!!この作品めっちゃ好き (1月16日 12時) (レス) @page1 id: 7cec922e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tyina | 作成日時:2023年8月21日 2時