* ページ5
その質問に、えりは話そうと口を開いたが……
それをやめ、予め用意していたことを代わりに話した。
『うん、初めから松田だよ。松田えり。それが私の名前。それがどうかした?』
「いや、おじい様が聞いとくよう言っていただけだから僕も詳しいことは…」
『松田なんて、ここら辺じゃあまり聞かないからかな?』
♪_
『あ、ごめん、失礼。
もしもし?総悟、なんか動きあった?』
「いま脱出中ですぜ。近藤さん連れて先外行ってやす。っと旦那、もうちょい安定で頼みやすぜ」
「沖田くーん?抱えられてんのわかってる??ねぇ??」
『え、嘘!?
ごめんね、九ちゃん、また何かあったら連絡してね』
「ああ、引き止めて悪かった。またね、えりちゃん」
ひらひらと九兵衛に軽く手を振ると、隊員のところに合流するために駆け出した。
『(後で妙ちゃんに裏口合わせてもらわないとなぁ……)』
『うん、もう暫くは安静だけど、経過は良さそう。一応、明日外部のお医者様が来られるからその時にまた見てもらった方がいいね。』
「えり、医師免許取る気ねぇんですかぃ?」
『とったら土方さんに本気で裏方に回されそうだからなぁ、それは困るんだよねぇ…』
「真選組最強の座守ってるえりならそうでもねぇと思いますぜ?」
『けど、どっちみちそういう学校行かないといけないんだから、その間ここから離れるのは…ね。
応急処置と怪我の経過、病気の経過さえ分かればやってける。それから医者との連携さえあれば。』
「もったいねぇとおもんですがねぃ…」
どうにか落ち着いた騒動の夜、沖田とえりは医務室にてそんな会話をしていると、ふとえりは昼間、九兵衛と話したことを思い出した。
『あ、そうそう。九ちゃんに、私の本名は松田かって聞かれた』
「!?」
『……九ちゃんには悪いけど、幕府と繋がってる家系だから……誤魔化しちゃった』
「……いや、それが最適でしょう。あくまでえりの名義は偽名。本名は未だわかってないものの、そのわかってねぇところ漬け込まれたら終わりですぜ。」
『…松平さんにも協力してもらって戸籍はそうなってるけど…未だに私の本当の名前分からずじまいで戸籍も不明…いっそこのままの方がいいって言う意見もあるけど』
「おいそれ誰に言われた」
『え、土方さん』
「…土方め…」
『多分私を思ってだよ。土方さんを責めないであげて。』
どうにか殺気だった沖田を苦笑混じりになだめつつ、医者に見せる用の隊士リストをまとめていた。
ー柳生編 完
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lua(プロフ) - pixivから来ました!!この作品めっちゃ好き (1月16日 12時) (レス) @page1 id: 7cec922e04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Tyina | 作成日時:2023年8月21日 2時