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「野郎とはあわせねーぜ」
『!!、総悟』
「えりも知ってんだろ。
今朝方もなんにも言わず仕事に出ていきやがった。
薄情な野郎でィ。」
『あっ、総悟、待って…!
またね、ミツバちゃん』
「うん、また。」
それだけ伝え去っていく総悟の後をえりが追いかけるようにして行ってしまうと、ミツバは少し寂しそうに目を伏せた。
「……仕事か、相変わらずみたいね。」
「オイオイ、勝手に巻き込んでおいて勝手に帰っちまいやがった。」
「ごめんなさい、わがままな子で。
私のせいなんです。幼くして両親を亡くしたあの子に寂しい思いをさせまいと甘やかして育てたから…
身勝手で頑固で負けず嫌いで…
そんなんだから昔からえりちゃんしかお友達がいなくて…同郷の友達なんて一人もいなかったんです。
近藤さんに、えりちゃんに出会わなかったら今頃どうなっていたか…今でもまだちょっと怖いんです。
あの子、ちゃんとしてるのかって。」
「……えりは同郷じゃないと?」
「!!、…ええ、少し複雑な事情で…」
ミツバは言葉を濁し、それ以上えりに関しては触れることなく困ったように笑った。
「ホントは、あなたもお友達なんかじゃないんでしょ?
無理矢理付き合わされてこんなこと…」
「…アイツがちゃんとしてるかって?してるわけないでしょんなもん。
仕事サボるわ、Sに目覚めるわ、不祥事起こすわ、Sに
目覚めるわ、えりに迷惑かけるわ、Sに目覚めるわ。
ロクなもんじゃねーよあのクソガキ。1体どういう教育したんですか。
友達くらい選ばなきゃいけねーよ。俺みたいなのと付き合ってたらロクなことにならねーぜおたくのこ。
えりもえりだ。わざわざ迷惑被られるの分かってんのになんで近寄るかねぇ…それくらいほおって置いても平気だっつーのによ。」
ミツバはそれを聞き困ったように眉を下げていたがろクスリと、笑った。
「…………おかしな人。
でも、どうりであの子達が懐くはずだわ。
何となくあの人に似てるもの。」
「あ?」
そこにパトカーがやってきて近くで止まり、真選組の隊服を着た男が降りてきた。
「おい、てめーらそこで何やってる
この屋敷の…」
降りてきた男、土方十四郎は目を見開き、ミツバのことを見ており、ミツバも同じように少し目を見開いた。
「と、十四郎さ、」
が、その先は言葉にならず、突然咳き込みだし、ミツバはその場に倒れ込んだ。
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lua(プロフ) - pixivから来ました!!この作品めっちゃ好き (1月16日 12時) (レス) @page1 id: 7cec922e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tyina | 作成日時:2023年8月21日 2時