負けず嫌い《桜庭涼太》 ページ13
「…ん、もっと声聞かせて?」
『…っ……ん…ぅ…』
何度も何度も唇を重ね、舌を絡め…言ってしまえばリョウにされるがままの状態が続くこと…何分だろう。いつもいつもリョウに主導権があることが悔しくて、私はただひたすら声を抑え続けた。
「……っふふ、今日のAは強情だね。どうしたの、なにか不満でもあるの?」
『…はぁ…はー……べ、別に?なんでもないよ』
できるだけ早く呼吸を整え、余裕なフリをしてリョウの隙をうかがう。でも隙どころか、普通に余裕そうに見える…悔しいっ
「…」
『…?なに、にやにやして…』
「…いいや?」
にこにこ…にやにや?わからないけど、なんか笑顔で私を見ている…
「Aは強情なんじゃなくて…慣れてきちゃったのかな?そうだよね、俺がいつも同じことしてるから…飽きちゃったのか」
『……え?』
慣れた?何に?…まさか、こんな何回もキスして、下唇を舐めたり食んだり…挙句の果てには舌を絡めてっていうのに慣れた??冗談じゃない…
「ふふ、じゃあ…他のことしよっかぁ」
『…』
やばい…これは、止めないと
『ち、違うんだよリョウ!慣れたとか全然そういうことではなくて…っわぁっ!?』
話の途中でベッドに押し倒され、笑顔のリョウが覆い被さる。心から、誰かに助けを求めたい。
「わぁ、じゃなくて…もっと可愛い声が聞きたいな」
『あ、あの…涼太さん??顔が怖い…』
「だって…俺はAの、俺だけに見せてくれるとろんとした顔と、可愛い声が聞きたいんだ」
『……だからって…』
「だからって、押し倒すことはない?…キスだけじゃ満足出来ないなら、仕方ないよね」
あ…目が笑ってない。これはまずい、私が強がろうとしたばかりに…
『り、リョウ!あ、あの…聞いて!』
「…?なぁに、A」
『ご…ごめんなさい。私、その…悔しくて…私ばっかり、してもらって…リョウに、なにもできなくて…』
どんどん声が小さくなっていくけれど、リョウは静かに聞いてくれた。…と、思ったら次は小さく吹き出して
「知ってた」
と言って笑っていた。
「すごい必死に我慢してるの、すっごく可愛くて…これは意地でも鳴かせてやろうって思って」
『……ドS…』
「俺は、Aが傍に居てくれるだけで充分だから。だから…素直に、可愛い反応見せて?」
『…えっ』
結局リョウの攻めはキスだけでは留まらず…この人には勝てないと悟るのでした。
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作者名:雪藤 | 作成日時:2019年10月25日 19時