充電してください ページ8
・
あれから数日のことだった。
特にギクシャクするわけでもない。理由としては孤爪くんから話しかけてくれたからだろう。
少し気にして机に突っ伏せていた私に「充電切れだ」って言ってくれた孤爪くん。
モバイルバッテリーを手渡したときに見た彼の充電はまだ黒かった。80以上はある、ということを示していることぐらい同じ機種を使う私にはわかる。
彼なりの気遣いだ、って気付いたのは授業が始まってすぐだ。
そんな孤爪くんに、どうしても『ありがとう』って言いたかった。何が、って聞かれると思ったけどそれはいつものお礼だ、と返せば済むと思ってのことだ。
「突然初めてのメッセージが ありがとう ってのもおかしくない‥?」
夜、部活も終わったであろうその時間にベッドに寝そべりながら携帯を高く上げて唸る。まず何がありがとうなんだろう、ありがとうよりごめんなさいと伝えるべきなのでは‥?なんても思う。
うーん、うーん、と唸っているうちにそれは誤操作で。
【通話をかけています】と表示されたその画面を見て思わず叫んでしまった。
消そう消そう、と慌ててしまうあまりにうまく操作なんてできずに、いつの間にか向こう側が電話を応答したプツ、という音がした。
『‥‥‥‥もしもし』
電話越しの孤爪くんの声は変にいつもと違って、余計に何をしたかったのかわからなくなる。とりあえず「こんばんは‥はは」と辿々しく言ってみるも向こう側の彼は『は?』の一言。
やってしまった、私は何回ドジをしたら気が済むのだろうか。
恋愛が関わるとうまくできないのは癖なんだろうけど。
「ごめん、えっと‥」
『うん、なんかあったの?』
「何も、ないんですけど‥」
少し話したいと思いまして‥、と振り絞った声で伝えてみる。かろうじて彼には届いているんだろう。
少しの沈黙のあと孤爪くんの声が届いた。
『こ‥声聞きたかったから、いいけど‥‥』
「‥‥‥‥‥はい?」
『‥やっぱ切る』
「いや待って待って孤爪くん?!」
自分で話しててわかる。私の顔はきっと真っ赤だ。
自意識過剰になってしまうのは仕方ない。今のは孤爪くんが悪いと思った。
結局少し話した後に電話は切れて、目的だった ありがとう は言いそびれたまま。
何やってんだ、と項垂れたときに、ピロンと通知が鳴る。孤爪研磨 と表示されたトークルーム。
孤爪研磨また明日
またその一言で舞い上がった。
292人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルナ(プロフ) - 一気読みしました!胸キュン止まらなかったです。素敵な作品ありがとうございました! (2018年2月5日 3時) (レス) id: e50bebed3f (このIDを非表示/違反報告)
てるてる研磨+(プロフ) - 一気に読みました!、研磨がもう…発狂したいです…Twitterフォローしときました!これからも応援します、ていうか、一生ついていきm(( (2017年8月9日 9時) (レス) id: abdb78b4ae (このIDを非表示/違反報告)
桃染(プロフ) - 一気に全て読ませていただきました。とても素敵で胸きゅん止まらなかったです…こんなに良い作品に出会えて嬉しいですし、本当にこの作文を作ってくれたせなさんに大変感謝しています。!研磨が最推しでいて良かったですありがとうございます。。。 (2017年8月9日 7時) (レス) id: 4dc6565224 (このIDを非表示/違反報告)
弥緒 - やばいです!!お姉ちゃんと一緒にふとんの中で読んだのですが、思わずお互いに「あぁ、青春だね。」と言ってました!お姉ちゃんは青春のどまんなかなのになぁ...きゅんきゅんが止まらんばい! (2017年8月8日 0時) (レス) id: d9d423301a (このIDを非表示/違反報告)
せな。(プロフ) - K.かんなさん» コメントありがとうございます!!!嬉しいです‥!久しぶりの読み切り新作で初研磨で緊張したんですけどそう言ってもらえると公開してよかったと思います!!!こちらこそありがとうございました! (2017年7月28日 21時) (レス) id: fdaf4afefc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せな。 | 作成日時:2017年7月28日 17時