なな ページ7
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「 遊びすぎたなぁ 」と人混みの後ろでつぶやいた。
花火が上がるまでもう2分を切っていた。当たり前ながら座る席なんて人で溢れ返ってひとつもない。背の高い堅治を横から見つめると、「 見えねーの？ 」と尋ねた彼が私の手を引いたのだった。
ひとつ、またひとつとあがる花火を 人混みから離れた所にある公園で眺めていた。「 去年青根達ときた時に見つけたんだよ 」って自慢する堅治がとても可愛くて、思わず頬を緩める。見上げると一面に広がる花火は宮城では豪華だと有名で。「 綺麗だね 」ってやはり堅治を見てしまう。その堅治が私を見てるなんて思ってなかったからだ。
ドン、と花火が打ち上げられる。すぐそこにある堅治から目を逸らすことなどできずにいた。それは堅治も同じらしくて、お互い見つめ合ったままだ。
「 ずっと好きだった 」
現実、その言葉なんて花火の音でかき消されなかった。聞きたくなくて、いっそのことかき消してほしかったのに。彼が発したその後に打ち上がった花火をこれまで恨んだことなどあっただろうか。
「 けんじ 」
「 高校んときからずっと 」
返す言葉なんて無かった。気付けなかったという罪悪感となんで今更という呆れた思いと。
私も、なんて言いたくなってしまうその雰囲気に。
けれど私は自分勝手で、いつも堅治のせいにしてしまう。今だってそうなのだ。「 どうして、今更言うの 」と。
「 じゃあなんでお前は東京行くって俺に言わなかったの 」
心臓が嫌な音を立てた。ああ、どうか花火がこの声をかき消してくれ、と願っているのに、
堅治に初めて嘘をついた高校3年の冬のことを思い出す。堅治に言えば、止められると思って、そうしたらきっと私は従ってしまうと思って。進路を聞かれても「 まあどこかは行くよ 」なんて。
堅治には 今までありがとう とひとつの手紙だけ置いて。
堅治はずっと好きでいてくれたのに。止めるのは当たり前なのに。なんで今更、なんて自分勝手過ぎることぐらいわかっていた。
「 ‥ごめん、なさい 」
「 うん 」
「 でも、堅治の気持ちには答えられない 」
きっと、お互い辛くなるから
堅治は淋しげに笑った。私の一番嫌いな笑い方を見せていた。高校のとき、彼氏ができるとよくその笑い方をしていたっけ、それはそういう意味だったんだ、と。
今更すぎるのは、私の方だ。
「 ごめん、な 」
堅治の唇が私の唇と重なったとき
一際大きな花火が打ち上げられた。
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波音(プロフ) - ことは本当に尊敬する作者さんだよ。移行したりしても絶対読むつもりだよ。本音を言うとこっちの垢に残って欲しいけどせなちゃんがいろいろ考えて決めたことなら応援するよ。またせなちゃんの素敵な小説を占ツクで読めるのを楽しみにしてます。長文失礼しました。 (2017年9月3日 20時) (
レス) id: 1301c465ef (このIDを非表示/違反報告)
波音(プロフ) - せなちゃん、こっちでは初めましてだね。瑠奈です。せなちゃんの小説知ったきっかけが白鳥沢バレー部の部誌シリーズで、その後せなちゃんが書いた小説何度も読ませて頂いて、せなちゃんの小説はやっぱり好きだなって思いました。引退は寂しいけど私の中ではせなちゃんの (2017年9月3日 20時) (レス) id: 1301c465ef (このIDを非表示/違反報告)
りらいと(プロフ) - はじめまして。私はこういう少し仄暗くて文学感が強いものが大好きです。占ツクでは珍しいからこそ続けて頂きたいです、ランキングに載っている小説が実力に見合ってないと感じるからこそ、貴方の様な素敵な文章を紡ぎ出せる人にはここにいて欲しいです。 (2017年8月31日 18時) (レス) id: 8413c00811 (このIDを非表示/違反報告)
奏良(プロフ) - なしとして、私の中では一番だと思ってます。なのでもっとたくさんの物語をえがいてほしいです。失礼しました (2017年8月28日 18時) (レス) id: d4e352885a (このIDを非表示/違反報告)
奏良(プロフ) - はじめまして。今回初めてコメントさせていただきます。上手く言えないのですがなんと言いますかギャグよりも感動や考えさせられる小説、心に残るような物語が好きです。なので私はせなさんのかく物語が凄く好きで、できればやめて欲しく無いです。占ツクのランキングは (2017年8月28日 18時) (レス) id: d4e352885a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せな。
| 作成日時：2017年8月15日 16時
