＊１２２＊ ページ24
『（人１）？』
「っ、わ！」
『そんな驚かんでも』
「ごめん、少しボーッとしてて」
『顔色悪いけど、大丈夫か？』
「え？うん、ごめんね」
そっか、なんて言うと、手を引いてきて
テレビの前に座らされて紫耀の足に体を固定される
．
紫耀の笑い声とテレビの音が酷く遠くに感じる。
私、どうしたらいい？
お母さんに会う 会わないは、
私が決めることじゃなく紫耀が決めること。
私はちゃんと、紫耀に伝えなければならない。
………でも、どうやって？
もし自分だったら、
もし私がお母さんと離れ離れになってしまって
久々に会えると思ったら多分泣いて喜ぶ。
でもそれは、あくまで私が愛されてきたからで。
お母さんからの愛を、知ってるからで。
母親からの愛を知らない彼は、
きっと私とは異なる考えを持ってる。
その考えが、違う境遇の私にわかるわけがない。
だから私はその可能性を勝手に留めてはいけない。
．
「紫耀、」
体の向きをクルリと回転させて、紫耀と向き合う
どんな反応をするかわからない。
１人になりたい、と追い出されるかもしれない。
それでも私は、
言わないよりも言う方を選ぶ。
『ん？』
私の表情から何かを汲み取った紫耀は、テレビを切る。
「紫耀、さっきの電話、」
『うん？』
「さっきの、電話、」
『どしたん。無理せんでええよ？
顔色むっちゃ悪いで』
．
「………………… 紫耀の、お母さん」
『………』
「お母さんだった。紫耀の。」
私の声が
静かな部屋に嫌味なくらい大きく響いたような気がした。
『（人１）、それ本当？』
「……ほん、と、」
『……』
「今週の日曜、〇〇カフェ…
お母さんが、待ってるって」
『………は？』
「伝えて、って、言われた」
『そ、…………』
「ごめ、じゃ私、今日は帰るから」
『……え、や、ちょっと待っ』
「じゃ、」
．
そのまま、ケータイだけ持って紫耀の家を飛び出した。
紫耀の方が驚いているに決まっているのに、
紫耀の方が戸惑うに決まっているのに。
私は伝えたのが正解だったのかどうかに悩んで
紫耀の引き止める声を無視して
紫耀の、なんとも言えない切ないその表情を無視して
１人、家に帰ってしまった。
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れい(プロフ) - 何度も読み返すほど大好きな作品です！！更新待ってます、、、！！ (2022年5月30日 18時) (
レス) id: bbf3e49cee (このIDを非表示/違反報告)
miiika(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。。久しぶりに読み返しました。密かに更新まってます。。 (2020年5月31日 21時) (レス) id: bda362bf51 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - めぐさん» この作品好きすぎて何度も読んでます！！！！ずっと更新されるの待ってます(；；) (2018年12月9日 21時) (レス) id: 91e5585f91 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きな小説なんですが、もう更新されませんか？（ ; ; ） (2018年5月19日 23時) (レス) id: ad1d0b09df (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 更新まってます( ；∀；) (2017年10月20日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るりか | 作成日時：2016年12月11日 2時
