君の隣で微笑む人“３”

＊１０１＊ ページ3

「れっ、……」




．






………… え ？



私の前を素通りして
何食わぬ顔で自分の席についた廉。






……………………………… あれ？


別に、これって普通のことで。
廉と私は付き合っているわけでも何でもなくて

ただの友達で。





．





私は一体、廉に何を期待していたの？



話しかけて欲しかった？
あの綺麗な瞳に見据えられたかった？




それとも、それ以上…？




チラリ、と廉を見れば
サラサラの前髪をくしゃくしゃ、としながら
スマホを弄るまるでどこかのモデルの様な姿。




無性に、




ドキドキする。





．





．





．





私は狡いから
私は卑怯だから、



遠くから廉を見つめることで
廉がこちらに気がついてくれて

いつものような、
綺麗で穢れを知らなくて
子供っぽいのにどこか大人びたあの笑顔を


私に向けてくれるんじゃないのか、
なんて期待して





．





そっと、廉を見つめるの。





．





．






｢……… っ！！｣






やっぱり、

私が期待したどおり。





．







廉は優しい。


廉は優しくて他人想いで





私は、卑怯。

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