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例えるならそれは
春の穏やかな日差しの中
可愛らしく蕾を付け始めた野原で
華麗に優雅に、でも繊細に舞う
蝶々の気分。
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トン、トン、トン、という
一定数の落ち着いた音を耳元で感じながら
優しいその腕に
私の身を全て委ねた。
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「………ん、」
目をうっすら開けば、白い天井
意識が戻っていく中で近くに感じる人の気配
ちらり、と視線を向ければ
私の頭に手を乗せたまま
すぐ真横で目を瞑っている紫耀の姿。
「………居てくれたんだ、」
それだけの事で心は舞い上がって
そっと手を伸ばして髪に触れる。
『……んぅ、』
あ、起きたかな
そう思って触れていた手をサッと引く
『んんーっ、…』
大きく伸びをすると、
そのままの至近距離で
ふわっ、と微笑んで
何も言わずに私の頭を撫で始めた
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逸らされることの無い視線から逃れられることもなく
暫く見つめ合っていた。
でも、何となく、
沈黙が気まづくて。
「ありがと…」
沈黙を破るのは、
いつだって私だった。
『んー?何が?』
「ここ、ずっと居てくれたんでしょ?」
『んー、まぁ』
「ありがと、」
『補習サボれたし?』
「……えっ?」
『あー!うそうそ!
そんなんのために助けたん……ちゃうで!』
「…間があったけど?」
『ほんまにー!
サボろうと外出たら倒れてたから』
「そっか」
うまく言い丸められてる気もするけれど
もうなんでもいい。
この空間が、好きなんだ。
紫耀が近くにいるという紛れもない事実
甘い香水に少しだけ汗の混じった香りに
伏し目がちな表情
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好き。
大好き。大好きなんだよ…
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れい(プロフ) - 何度も読み返すほど大好きな作品です!!更新待ってます、、、!! (2022年5月30日 18時) (レス) id: bbf3e49cee (このIDを非表示/違反報告)
miiika(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。。久しぶりに読み返しました。密かに更新まってます。。 (2020年5月31日 21時) (レス) id: bda362bf51 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - めぐさん» この作品好きすぎて何度も読んでます!!!!ずっと更新されるの待ってます(;;) (2018年12月9日 21時) (レス) id: 91e5585f91 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きな小説なんですが、もう更新されませんか?( ; ; ) (2018年5月19日 23時) (レス) id: ad1d0b09df (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 更新まってます( ;∀;) (2017年10月20日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るりか | 作成日時:2016年12月11日 2時