まほやく！(妄想)3

南の国 ページ24

フィガロ｢誰？オーエン？｣
布団越しに聞こえてくるフィガロの声。
多分立ったまま私を見て問いかけている。
まるで日常会話をしているかのような声のトーンに逆に驚いてしまうが、きっと彼はわざとそうしてくれている。
北の大魔法使いを出さないように。
ここでオーエンとか言おうものならあいつほんと最低だよねっとかいい微笑むだろうがその後血祭りが起こることなんて簡単に想像出来てしまう。
だからとりあえず違いますとだけ伝える。
フィガロ｢詳しく聞かせて貰えるかな？勿論ゆっくりでいいよ。晶の心に余裕が出来てからでいいからさ｣

ルチル｢賢者様｣
暖かい声。
優しい温もり。
暗いはずなのに太陽に照らされているかのような安心感が私を包む。
この感じ、多分上から包むようにハグしてくれているのだろう。
昔、してもらったように。
何も言わず、ただ抱きしめてくれる。
その事実に、今までとは違う理由で涙が止まらなくなってしまった。
ルチル｢嫌な気持ちとこうすれば友達になれるんです｣

レノックス｢……｣
価値がない。
必要がない。
無意味。
なんて声をかけたらいいのか分からない。
いや、自分が声をかけてもいいのかが分からない。
400年かけて主人を探す旅をして、見つけ出すことは出来た。
だが、あの時。あの時、あの惨事を止められなかった自分にかけることが出来る言葉があるのだろうか。
どれも気休めにもならない気がして無言のまま呪詛のような言葉を吐き続ける賢者を見ながら胸が痛くなる。
レノックス｢賢者様……｣

ミチル｢賢者様……？大丈夫ですか…？｣
泣き声と共に聞こえる苦しい言葉達。
いつも明るくて勇敢な賢者様が布団の中で繰り返し自分を呪っている。
まるで別人のようで怖い。
でも、怖い以上に今はどうにかしなくてはいけない。
だって、僕達のことをいつも思ってくれている賢者様が悲しいことを言っているのだから。
ミチル｢オーエンさんに何か言われたんですか……？気にすることないです！僕達は賢者様の事が大好きですよ！！｣





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オーエン……ごめん笑

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