まほやく！(妄想)3

中央の国 ページ14

オズ｢……｣
賢者が倒れ、寝室に運ばれてからずっと賢者の部屋で見守り続ける。
ベッドの近くに椅子を置いて、少しの変化も見逃さないように。
思いつく限りのことはしたのにそれでも賢者は起きないどころか、日が経つに連れ穏やかな眠り顔になっているのを見て、いたたまれない気持ちになる。
いつからこんなに他者の生死に拘るようになったのだろうかと自分の変化にも驚きつつも、この変化が賢者に起こればいいとずっと見守り続ける。
オズ｢賢者。お前が居ない魔法舎は静かすぎる｣

アーサー｢賢者様、今日は皆でお菓子を作ったんです｣
公務がある為ずっとは居られないが、可能な限り賢者の部屋で時を過ごす。
毎日、その時あったことを返事が返ってこない賢者に語りかける。
今日はお菓子を作ったように、毎日なにかを作っては賢者に渡す為、机の上の物が増えてきた。このまま増えないで欲しいと机を見てしまう度心が苦しくなる。
こちらは苦しくなるのに賢者様は日に日に穏やかになるのを見て、眉間にシワが寄ってしまう。
アーサー｢それでも、苦しんでいないようで、よか……｣

カイン｢みんな寂しがってるぜ、晶｣
と、明るく言っては見るものの、内心は穏やかではない。
どうして晶が出かけそうという場面に出くわさなかったのだろうか。
そうしたらなにか変わっていたかも知れないのに。
過去を後悔するなんて俺らしくないな、と何度も首を振るがどうしようもない現状にまた首を振ってしまう。
晶のことだから起きた時、みんなを心配させてしまいすみませんと謝るだろうから、少しでも自分のせいにさせない為なにか準備しておこう。
カイン｢確か晶はおじやが好きだったよな｣

リケ｢……｣
ランタンの火を灯し、床に座って、また賢者様の笑顔が見られるようにただお祈りを続ける。
自分が朝起きて、賢者様がおはようといつものように言ってくれるのを願ってただ祈る。
自分が出来る最大限のことをする。
なのにどうして賢者様は起きないのだろう。
穏やかな顔になっていくのは僕のお祈りだからですよね？と良くない考えがチラついてくる度、自分に言い聞かせながら涙がこぼれそうになる。
リケ｢大丈夫ですよ、賢者様。皆が必ず助けてくれます。勿論僕も賢者様を助けますから｣

北の国→←一週間眠ったままだったら

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す