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そうして洞窟最期の岩を出た後目にしたのはあの時とは全く違う景色だった。
外は暗く、星が虫のように空を飛んでいる。
涅槃会)……夜？
紫雲)青空は他の男と見たんだろ。なら俺はお前に夜を、この星空を見て欲しかった。綺麗だろ！
洞窟のように暗いのに月が、星が私達を照らす。
紫雲)涅槃会、今日は10月11日だ
涅槃会)それが？
紫雲)今日をお前の誕生日にしよう。これが俺からのプレゼントだ
誕生日。
もう元の誕生日なんて覚えていない。
今更誕生日なんて意味をなさないけれど……。
とても嬉しかった。
今日私は生まれたんだ。
紫雲)さ、寝るぞ
涅槃会)ね……
紫雲)言っただろ、俺はお前と朝寝がしたいって
それってつまり、そういうことでしょう？
今まで洞窟にやって来た男も女も味わって来たけれど何故か心臓が締め付けられるようだった。
苦しい感情じゃない、とても……。
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朝、八斎戒の部屋で目を覚ます。
外ではチュンチュンと雀の鳴き声が聞こえた。
隣で寝ている八斎戒。
そして不思議なのが私も八斎戒も服を着ているということ。
髪も乱れてないし臭いもしない。
涅槃会)八斎戒、八斎戒
紫雲)んん……なんにゃぁ…
涅槃会)しないの？
紫雲)なにを？
涅槃会)○○○○
紫雲)はぁ！？何言うてん！！
涅槃会)だって、朝寝がしたいって
紫雲)俺は涅槃会に布団の温かさを体験して欲しかったなら！
涅槃会)……え？
紫雲)え？
確かに布団は暖かいけど……え？
涅槃会)いやでも、男女が一緒の布団に入ったのよ？
紫雲)それが？
涅槃会)そういうことでしょ？
紫雲)なわけあるか！俺まだ13やぞ！？
涅槃会)関係ないわよ
紫雲)すぐそういう考えに持っていくー、助平
涅槃会)助平って……私にはこれくらいしかないのよ。あなたに感謝する方法が
紫雲)感謝なんざいらん。ほれ、涅槃会見ろ！その邪な考えお天道様にでも祓ってもらえ！
八斎戒は障子を勢いよく開けた。
開かれた障子の先は木々や草が生い茂り、太陽に照らされ青々しく輝いている。
そして果てしない青い空。
涅槃会)……綺麗
紫雲)……なぁ涅槃会
涅槃会)はい
紫雲)一緒に逃げるか、青空を見よう
涅槃会)何をおっしゃるの？もう青空は見てますわ
紫雲)それはこの島のだ。俺はお前に外をもっと見せてやりたい。この島のじゃない青空を
涅槃会)しかし……
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作者名：荒城の月 | 作成日時：2023年4月14日 22時
