太宰治の指導教官 弐【文豪ストレイドックス】【太宰治】

第五十一話 ページ15

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芥川と銀は約束の場所で有川を待っていた









指定された時間まで後十五分









「 ........本当に彼の人は来るのかな ........兄さん」








「待つしかないな ........嘘をついていたのなら、


いつか僕が地獄に葬る」









だが、そうは云っても、
芥川は今だに有川の行動が腑に落ちなかった









余りにも此方の条件が良すぎるのだ









仮にあの女が来なければ、時計は此方の物になる





有川が用意すると云った物に対して、自分たちは直接要求していない




貰えなかったとしても、何ら支障はないのだ









それ程、此の時計は大切な物なのか ........？









ぐるぐると回る思考は、止まることを知らない









周りの音、空気、動き_____________









全てが感じられなくなるほどに









そして_____________









「ッ ........ひっ ........！！？」









「！？銀！」









自分の大切な妹は、一人の男に捕まっていた









呼吸は荒く、頬を上気させ、妹に触れるその男が









“そういう商売”をしている者だと気づいた









「いいねぇ ........真っ白い肌、深い深い黒髪、








切れ長の綺麗な目 ........東洋人特有の美しさ ........









コイツは高く売れる ........」









「何をしている！其奴を離せ！貴様が触れていい者ではない！」









芥川の存在を認識した男は、ニタァと君の悪い笑みを浮かべる









「へぇ ........兄貴かい？なあ、コイツ譲ってくれよ ........」









「なッ ........貴様、




自身の死は覚悟できているのだろうな ........」









怯えきった目をして涙を浮かべ、震えている妹の姿に、芥川の怒りは膨れ上がり








殺意へと姿を変えようとしている









「おいおい、そうカリカリすんなよ ........








俺はお前に提案をしようと思ってるのによお」









「何 ........？」







男のその言葉に、一瞬殺意が揺らいだ









「判らねえか？確かに此の嬢ちゃんは売られる







だが、売られた先では少なくとも今よりマシな暮らしができるぜ？





服もあって、寝床もある





あったけえ所に居られるんだよ。






御前も兄貴なら妹の幸せを望むだろ？」









妹の幸せ









幸せが保証される？







僕は選択すべきなのか ........？









僕は_____________

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