太宰治の指導教官【文豪ストレイドッグス】【太宰治】

第十四話 ページ16

『ん・・・・此処は・・・・「Aさん！」・・・・！








・・・・治？如何したんだ？』









目の前には涙を浮かべる愛しい弟子の姿







「だって、急に倒れて・・・・ずっと起きないから・・・・」







周りを見渡すと、外は既に明るく、鳥の囀り(さえずり)が有川の耳にも届いた







『(そうか・・・・あの後倒れて・・・)









済まない、心配掛けたな。








でも此の位で泣くな、男だろ。』









頷きながらそれでも心配してくれる太宰の頭を、何時もの様に撫でると








彼はまた、嬉しそうに微笑むのだった









「気が付いたかい？」









扉を開けて入ってきた森に有川は目を向けた









『迷惑掛けたな、森医師。』









「大丈夫かい？丸一日眠っていたのだよ？









最近忙しかったからね。疲労による熱だよ。








・・・・うん、もう下がったようだね。」









有川の額に手を当て、軈て安心したような顔を浮かべる森に、苦笑する









「そうだ。君に話しておきたいことが有るのだよ。








太宰君、少し席を外してくれないかな？」








訝しむ太宰が有川に目を向けると、そうして呉れとでも云う様に有川は頷く








太宰が部屋を出たことを確認すると、森が話を切り出した









「最近、此の組織を如何思う。」








『・・・・此う云っちゃ悪いが・・・









・・・・・腐ってるよ。』









首領の様子が可笑しくなってから、ポートマフィアは随分と変わった









元々、此のヨコハマの夜を統べるポートマフィアは自身の心情に誇りを持った組織だった









其れが今では、自ら抗争を拡大させる迄に落ちぶれて仕舞っているのだ









「矢張り、此の組織には救済が必要だ。






そうは思わないかね？」









そう問い掛ける森に有川は失笑する







『確かに、此の組織には救済が必要だ。だが、もう少し待て。









治や中也、紅葉が、成長するまで・・・・・』









此の組織の、次の担い手が成長するまで＿＿＿＿＿＿＿









「君は如何するのかね？」









『・・・・・・さぁな。取り敢えず今は・・・・』









＿＿＿＿＿＿＿＿彼の子達の此れからを、見守るだけさ＿＿＿＿＿＿＿＿

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