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加州清光 ページ5

「ルビーの石言葉って知ってる?」

横で私の作業を見ていた加州が突然言い出した。

え、知らない。そもそも石言葉なんてあるの?と聞くと、加州はにっこり笑って応えた。


「うん。ルビーはね、『情熱』で、『血と炎の象徴』。身につけた人は元気になるとか、永遠の命を得られるとか言われてたんだって。」


だからさ、と彼は続けて言う。


「これ、主にあげる。ネックレス。」


え、うそ、嬉しい!と加州に抱きつけば、加州は照れくさそうにえへへと笑った。


「主には長生きして欲しいからさあ、俺がずっと守るよ、主のこと。」


加州大好き!!とぎゅうっと腕の力を強める。


「えへ、俺も。ずーっと、元気でいてね。」
(出来れば居なくならないで欲しいけど、きっと主は人間として死にたいだろうから、主を悲しませるような真似はしないよ。)


「でも、いつか人間やめたくなったら俺に言ってね。俺がどうにかしたげる。」

加州はルビーのような、深い赤色の瞳を細めて、人外めいた笑みで美しくこちらを見つめた。
そしてするりと私の頬を撫でて、彼は去っていった。











「きっと、そんな日は来ないと思うけど。」

主から離れた加州は、ひとつ言葉を落とした。その姿は、酷く寂しげだった。

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作者名:紺碧 | 作成日時:2023年2月20日 9時

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