堀川国広 ページ13
「なんですか？主さん！呼びました？」
洗濯カゴを抱えた堀川くんが気持ち急ぎめにこちらへやってくる。
遠目に堀川くんが見えたからちょっと呼んだだけなんだけど、忙しかったかな？と思って、その通りに伝えれば、
「とんでもない！主さんが呼んでくれればどこへだって行きますよ！」
とにこにこ元気に返ってきた。
じゃあ兼さんと私が同時に堀川くんのこと呼んでたらどうするの？と聞いたら、堀川くんは少し悩むそぶりを見せてから言った。
「うーん、一回兼さんのほうを置いておいて、主さんのほうを解決してから兼さんのほうにいきますね」
私を優先してくれているみたいでなんだか嬉しい。そう伝えた。
すると、
「なんか今日の主さんは素直でかわいいですねー！ぎゅうしちゃう！」
洗濯カゴを置いて、にっこにこの堀川くんがぎゅっと抱き締めてきた。
初期のころ、よく抱きついていたらこんな風潮が二人の間で出来てしまったのだ。嬉しいからそのままにしてる。
二人でくすくす笑いながら、ぎゅうぎゅう抱きしめあっていると、ふと、堀川くんが呟いた。
「ああ、うん。なるほど」
ん？と思っている間に、いつのまにか堀川くんはサッと体を離して、またカゴを抱えて、帰る体制になった。
「それじゃあ、主さん！僕、これの続きやってきますね」
はぁい、と返す。堀川くんは物干し竿のほうに向かっていった。
「主さん、ちょっと痩せたのかな…？食事の栄養バランスは考えてるはずなんだけど……」
早急にどうにかせねば。
「もう、人間なんてすぐ死んじゃうんだからちゃんとした生活をしないと。もうちょっと主さんの生活リズム見てみるかぁ…。」
そう、人間なんてすぐ死ぬから、できるだけ僕達が見ていてあげないと。
もし、死にそうになったなら、傍に置かせてもらうのも許して貰えるかな？本当は、いますぐにでも手元に置いておいてしまいたいのだけど、きっとそれは主さんが望まないから。
だから、今は我慢。
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作者名：紺碧 | 作成日時：2023年2月20日 9時
