骨喰藤四郎 ページ12
「髪の毛が」
え、なに?と聞いた。
「いや、髪の毛が、光が反射して綺麗だと思って」
わ、私の?と思わず聞いたら、こくりと頷かれた。
そっか、君の方が綺麗だと主は思うな!
「そうか?主が言うならそうなのだろうな」
あれ?骨喰ってそんな素直だっけ?と思ったが、多分なにかの心情の変化があったんだろうな、とそんなに気にしなかった。
そして、その骨喰はというと、昨日見た光景を思い出していた。
池で溺れる小さな虫。骨喰が気付いた頃には、もう既に動かなくなっていた。
ずいぶんと儚いものだ。と思う。
儚い、それは人間もそうだ。溺れると死ぬ、焼けると死ぬ。刀剣男士と違って腹を突かれたら死ぬし、腕を切られても死ぬ可能性がある。元から体が弱いとさらに死にやすくなる。
主も、すぐに死んでしまうのではないか?
ふと、そう思った。
この本丸の居心地はいい。兄弟がいて、主がいて。記憶はないが、幸せであると言える。
そんな日常が、壊される日がくる。そんなことを考えただけでぞっとした。
ずっとこのまま、なにも変わらぬままいれたらいいのに。
皆幸せで、変わりない日常。それが一番良い。
─骨喰?
主が呼びかけているが、骨喰には聞こえていない。
骨喰、骨喰ー!聞こえてないの?返事しないとぎゅーしちゃうぞー!!
それははっきりと聞き取れた骨喰が、ん、と両腕を広げた。
えっいいの??やったあ!!
ぎゅっと主を抱きしめて、改めて主の弱さ、小ささを感じた。こんなでは主が攻撃されたら死んでしまうだろう。俺が守らなくてはいけない。
どうするのが最適解なのだろうか?
脅威のないところへ、行けたらいいのだが。
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作者名:紺碧 | 作成日時:2023年2月20日 9時