68:成長 ページ19
.
「次の試合、勝てばウィンターカップ。間違ってもコケちゃダメっスよ？」
「そんな心配をするなら、言う相手が違うだろう」
試合後、再開を果たした緑間、黄瀬、桃井の三人。
黄瀬は緑間を心配したが、彼は見当違いだと言う。
その言葉がはるかに重く聞こえた。
『心配なのはオレたちの方だって？』
「わ！ A君！」
久しぶり、と手を振るAはわかっているようだった。
次の試合、誠凛の相手は霧崎第一。
木吉同様、無冠の五将の一人、花宮真がいる。
そしてAは彼の本質を知っている。
『花宮さんが次の試合に照準を合わせてきてるのは知ってる。だからまあ、その、大丈夫だよ』
「……説得力なくて心配だよ」
他愛のない、わけではないがそんな話をしていると、ふと黄瀬が何故ここにいるのかを問うた。
どうやらA、2号を探しに来ていたよう。
だがそんな2号も緑間のリアカーで発見され、事なきを得た。
「それよりもA。また勝ち逃げとは気に食わん」
『試合は引き分けでしたが』
「オレとオマエの話をしているのだよ！」
思い出されるのはインターハイ予選。
あの時も、Aは緑間を止めたような。
そして今回も、そんなことがあったような。
試合の中でたった一度だけ。
それでもその一度が何度も重なって、緑間には納得がいかなかった。
『またいつでも、相手になれる』
「……」
『だって、オレたちの仲だろう』
そんなこと、今までの彼なら言わなかっただろう。
Aはずっと、キセキの世代との衝突を避けていた。
試合を優位に進められる作戦を立てつつ、自分のわがままをうまく隠して。
「……あぁ、そうだな」
「えー！オレだってAっちと仲良かったっスもん！」
「えー、そうだった？」
『うーん、涼太は圏外かなぁ』
少しだけ、懐かしい感じがした。
黄瀬も緑間も昔に戻ったように感じて、桃井の穏やかさに久々に触れたような気がして。
僅かでも、取り戻せたような気分になった。
『じゃあ、またね』
「次の試合、応援してるからね！」
『ありがとう、桃井』
2号を抱いて、去っていくAの後ろ姿が微かに逞しくなっているように思えた。
色白で細くて、決して強そうではないのに。
「……Aっちも、ちょっと変わったっスね」
「そう、かもな」
「彼、あんなに綺麗に笑えたなんて知らなかったね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちさ子(プロフ) - 明後日打ったんで誤字になってて恥ずかしいです〜！！こちらこそレスありがとうございます！ (2019年12月19日 9時) (
レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん、(プロフ) - ちさ子さん» あわわわコメントありがとうございます！！ありがたいお言葉で頑張れます！ (2019年12月18日 16時) (レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
ちさ子(プロフ) - すごか面白くて、一気に読みました！！続き楽しみすぎて眠れないです笑笑 (2019年12月18日 3時) (レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽん、 | 作成日時：2019年6月1日 0時
