60:同格 ページ11
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第1Q前半。
Aの予想通りの展開を見せ、相手に押される状況が続いた。
だが誠凛が大人しくしているわけもなく、夏からの成長を見せ逆転。
11点のリードで第1Qを終える。
『監督、オレ退がります』
「あら、まだ元気そうだけど？」
『何というか雰囲気的に？オレより伊月さんの方が適任ですよ』
「あなたが言うならそうなのかもね」
Aの直感で、選手交代。
第2Qからは伊月がコートに立った。
その後も誠凛はぐんぐんと点差をつけて行った。
少しも流れを切らず、隙を与えず。
「ほらA、水」
『あぁ、ありがとう。けどオレ、病人じゃないんだからそんな全部世話されなくても』
「うーん、まあ、倒れられたら困るし」
『言葉が痛すぎる……』
ベンチに引いたAを同学年の三人が徹底的に世話していた。
やり辛さが否めず、本人は大丈夫だと言うが相手もそれでは引かない。
何せ夏にあんな事件が起こったのだ。
ウィンターカップ予選とはいえ、大事な試合が続くわけであるし、また再起不能になっては困る。
正直な河原の言葉にAは若干顔を引きつらせた。
彼にしては珍しく、論破された瞬間だっただろう。
『……あっ』
「ん、どした？」
『いや、何でもない』
第4Q終了間近。
火神がフリースローラインから跳ぶ、レーンアップ。
高校生では滅多に見ない、スーパープレーを見せた。
その時、Aが小さく声をあげたのだ。
彼は何でもないと誤魔化したが、正直な話驚くべきことが起こっていた。
言葉にしなかったのは、それがほとんど感覚的な問題だったからだ。
根拠はない。
だがAを含めたキセキの世代は、ふと直感した。
10年に一人と揶揄される彼らには一対一で対抗できるものは同じキセキの世代以外いない。
彼らと同格と呼べる選手は存在しないし、もし現れたとしてもそれはずっと先、のはずだったのだ。
それでも彼らは聞いたのだ。
扉が開く音、その圧倒的天才達しか入れない部屋の扉がこじ開けられた音を。
まさかそんなことがあるのか、とAは思った。
もちろん火神の実力は認めていたし、彼がこれから成長していくことだって知っていた。
それに黒子の光である以上、キセキの世代により近い力をつけてもらうことを望んでいた。
だけれどまさか、同格だなんて。
『……聞こえたか、征十郎』
誰も拾えないほど、小さな呟きだった。
だが小さくてもその表情は明るくて。
その瞳は希望に満ちているようだった。
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ちさ子(プロフ) - 明後日打ったんで誤字になってて恥ずかしいです〜！！こちらこそレスありがとうございます！ (2019年12月19日 9時) (
レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん、(プロフ) - ちさ子さん» あわわわコメントありがとうございます！！ありがたいお言葉で頑張れます！ (2019年12月18日 16時) (レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
ちさ子(プロフ) - すごか面白くて、一気に読みました！！続き楽しみすぎて眠れないです笑笑 (2019年12月18日 3時) (レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2019年6月1日 0時
