絶対的アイデンティティ-Sho.S- (ページ1)

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桜は嫌いだ。

みんなが新しい出会いを求めて必死になる姿が

何ともみっともない。

1日に何度も自分の名前を伝えなきゃならない。

『じゃー、次はその、その後ろの子！』

『おーい、聞いてる？赤のニットの！そうあなた！』

「あぁ、すみません、高島Aです。

美国野高校出身です。よろしくお願いします。」

『お～美国野！俺も美国野！じゃあよろしくって

言いたいところだけど、何で俺の講義取ってくれた

のか聞いてないんだけど。』

「就職に有利そうだったので。」

『現実的だな！ﾊﾊｯ！ありがとうじゃあよろしく！』

櫻井翔。

美国野高校出身。

美国野大学外国語学部英語専攻卒業。

在学中にオーストラリアへ1年間留学。

常に学部内成績首位を獲得。

興味も何も湧かないままとりあえず見た

大学のホームページ。

やたらと顔写真の大きいこの教授は若くて

整った顔をしている。

そりゃあ大学側も看板教授にしたがるに決まってる。

思惑通りなのか、三国野大学は全国でも

かなりの人気で偏差値も上から片手で数えられる。

恋のパワーは恐ろしい。

『あのっ！櫻井教授に教えて貰いたくて

頑張って勉強してきました！よろしくお願いします！』

女子しか居ないんじゃないかってくらいの

この部屋でたまたま隣の席に男子。

「ね！Aちゃんって言うの？よろしくね！

あ、俺は相葉雅紀！」

『そこ！相葉！声がでかい！』

「しょ...櫻井教授すみませーん」

やっぱり春は嫌いだ。

騒がしい。