第四桂 ： その本丸の特徴は ページ7
―――手入れ部屋まで歩きつき、
小狐丸を中央の椅子に座らせる。
帯刀された刀を手に取るが、
彼は何一つ行動を起こさなかった。
「――私のいる本丸は、変わっているのです」
視線は投げ離したまま、小狐丸はぽつりとこぼす。
鞘を抜きながら、桜夜は耳を傾けた。
「――清廉なのです、何もかも」
「は？」
聞き耳を立てながら、そして相槌をうつ。
まるで『小狐丸』の逸話のようだと思いながら、
小狐丸の言葉に問い返す。
「本丸の中に流れる空気は美しく、
本丸を維持する神気は実に清らかで、
朽ちた先もなく静寂につつまれて居心地がいい」
「・・・」
口を閉ざし、ただ聞いておくことにした。
「だというのに、所属する刀剣らはひどく痛々しく、
いつだって怪我をしておりまする」
―――どういうことだろう。
「それなのに刀剣たちは何一つ文句を言うこともなく、
主は身体が弱いから少しずつしか手入れが出来ないのだという」
鞘の傷みが少しずつ回復していく。
――見れば彼の髪が少しやわらかく、そして綺麗な白へ。
「刀剣男士の誰一人、主を疑う様子がないのです。
あれだけ怪我をして、折れてしまった刀もおるというのに」
鞘は完全に治療が終わった。
「おかしいのです、毎夜、夜伽の気配はするのですが、
―――その時だけは、欲に溺れた奇妙な神気が本丸を覆います」
「・・・なんだって？」
抜き出した刀身の半分程度まで手入れを終えて、
つい手を止めて顔を上げた。
「しかしすぐに、その気配もまた、
元の清らかなものに、我らが過ごしやすいと感じるものに戻りまする」
「・・なにそれ・・」
「刀剣の中には、
自分が主の夜伽相手になりたいと申し出る者もおりますが・・
――それを是としないのが、常に本丸の主(ぬし)に寄りそう、
我らの同胞でございます」
―――ここまできいて、嫌な予感がした。
「その、同胞の刀剣て・・まさか、」
「・・お察しがよいのですね。
我らが同胞、―――三日月宗近にございます」
――あぁ、だから綺麗な月は嫌い。
「・・三日月宗近には二種類いる」
「・・種類、とな？」
刀身の手入れを完全にすませ、
残るは柄(つか)。
一度それらを刀掛けに置き、桜夜は小狐丸と向き合う。
「・・ある程度主に忠実な奴と、異常なほど主に執着する奴だ」
――ある程度、といったのは。
『三日月宗近』は刀剣の中で唯一、
『主』を見限る判断が出来る刀であるから。
それは今までの経験から、知ってきた�犲鑪爿瓩世辰拭�
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・！いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます！ (2015年12月7日 7時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・！ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね！ありがとうございます！ (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています！これからも頑張ってください！ (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました！三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年9月25日 22時
