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第二十桂 : 神とひと ページ23

――人間は
審神者でも巫女でも神主であっても
結局は人間でしかなくどこまでいっても結果的には神に仕えるべき存在だ。

「・・そういうことか」

青江は深々と溜息を吐いた。
小狐丸は首をかしげ、左文字は視線を這わせ、
桜夜はいぶかしげに眉を寄せたままで青江を見据える。

「君の、僕らに対する態度は何か、
一枚置いたさきにあるように見えた。

だけれど、君は単純に、
僕らを神として見ていて、刀の付喪神として扱う。
だからこそ世界の違う存在であると認識していて、
故にどれだけ美しいものでも、世界の違う神なのだから、と、
当然のように別世界のものとして感じている」
「・・神は、神だろう」
「刀に宿った八百万(やおよろず)八百九十九(やおつくも)の神だ、ということだね」

何か、おかしなことをいったのだろうか。
自分は間違ってなど、いないのに。

「その思考だから、君はあの天下五剣を前にしても、
理路整然と平然としていられるんだ。
なにひとつ人間と関わっていいことなどない、
異種たる存在だからと」

納得のいったように、青江は何度も頷いた。

「だけど君のそれは同時に、もろ刃の剣だね。
神だからこそ人間のように関わらないでいられるが、
神だからこそ、人間のようにうまく避ける事が、
―――相手が神だからこそ、その認識故に、
"神には"逆らうことが出来ない場合もある」
「・・・」

青江を見据える。
にらみ合うように見つめ合っても、
いがみ合う様に言い合うことはなかった。

「君は悲しいね・・僕や、小狐丸、
どころかそこにいる近侍でさえも、
君の中ではただの、神にしかなり得ない」
「・・悲しい?」
「きっと君の中にあるその壁は、
君が魂となって天界へ召されても、
決して取り払われることなどないのだろう」
「・・・」

今度ばかりは三日月くんも、
――青江は、間違いなくそう口にした。

「閑話を休題、話に戻ろうか。
困ったことに、この本丸の刀剣たちは実に気性が荒い。
主に、彼女に近付くものに対して、だけどね」
「話を聞けるものはいないと?」
「・・・そうだね・・三条の・・石切丸なら、
可能性は無きにしもあらず、だけど・・お勧めはしないね。
彼も結局、ここにいて長い三条側の者だから」

少し考えて、青江ははたと瞼を揺らす。

「・・燭台切くんあたりは割と新しいねぇ・・
彼ならまだまともな話が聞けるかもしれない。
新しい目線で、彼女がどう映っているのかは、しらないけれど」


――先は、長そうだ。

第二十一桂 : 行き詰る、息詰まる→←第十九桂 : 審神者と付喪神



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設定タグ:二次創作 , 刀剣乱舞 , 腐・恋愛/男審神者主   
作品ジャンル:その他
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・!いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます! (2015年12月7日 7時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・!ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね!ありがとうございます! (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています!これからも頑張ってください! (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます! (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました!三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遊藍 | 作成日時:2015年9月25日 22時

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