第十桂 ： 備前国本丸・所属刀剣 ページ13
俺はあまり油断をする者ではない、と、自分なりに自負している。
――しかし、考え直せば、俺はあの日、
大切な相棒をけなされてかっとしていたのかもしれない。
そんなこと、今更なのだろうけれど。
＊＊
呼び出されて広間に着けば、中には当人と、幾振りかの刀剣男士がいた。
その中には、あの日の小狐丸もいた。
周囲に気付かれぬほど僅かに、彼は会釈した。
「あら、三日月は？」
さすがに放り出してきたことに気付いたのか、
ミハナは目ざとく問いかけた。
「・・さて、後から来るのではないでしょうか」
左文字が桜夜に代わって答えた。
彼が口を開いた途端、じろりと視線が向けられる。
不快感凄まじいその視線の元をたどれば、
薄青の髪をした男がこちらをにらみつけていた。
「・・・」
彼は何も口にはしないが、
その視線には憎悪と嫌悪が、そして雰囲気からは警戒心が、見て取れた。
「・・・・なにか？」
「！」
ならばとこちらも眉を寄せ、
不快になるであろう視線を投げてやる。
不愉快そうに睨み返せば、彼はぎょっとして肩を揺らしている。
―――反論されたことは、なかったのだろうか。
「・・一期、そういうふうに睨むのはやめてと言っているでしょう」
「しかし・・！ 今度の研修生も、きっとまた同じことを繰り返します！
そうなれば、あなたの心が傷ついてしまう・・！」
痛々しい表情をミハナになげかけて、
その反面、ぎろりとこちらを睨む、「いちご」という男。
腹は立つが、何か理由があるからこそであろうと考えて、
今度は反論しなかった。
「・・何故、」
すると一期は眉を寄せ、
今度は困惑したような眼差しを寄越した。
「・・何故、今の言葉には反論しないのです」
「そこに反論する意味を見いだせなかったからね」
目を合わせることはなく、それだけを返した。
「・・・ミハナちゃん、それより紹介をはじめないと」
その空気に声を出したのは眼帯の男だった。
「そうね。研修君、今割り込んだ眼帯の彼が燭台切光忠、刀種は太刀よ。
で、あなたににらみを利かせた水色の彼が、一期一振。同じく太刀ね。
そっちにいる銀髪の子が今剣。刀種は短刀。
その後ろにいるのが、石切丸。刀種は大太刀。そして最後に、」
ミハナの目線が部屋の隅にいる小狐丸に向く。
「はしっこにいるのがこの本丸に来てくれたばかりの小狐丸。
刀種は太刀。ここにはいないけど、あとで遠征のみんなも紹介するわね」
――ミハナは人のよさそうな笑みを浮かべた。
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・！いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます！ (2015年12月7日 7時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・！ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね！ありがとうございます！ (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています！これからも頑張ってください！ (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました！三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年9月25日 22時
