第八桂 ： 奇妙奇怪・奇奇怪怪、本丸 ページ11
本当に、僅かに、視線を向けて、
研修生審神者はすぐに、近侍に対して口をひらいた。
―――彼の視線が向いたのは、本当にその、一瞬だけだった。
「ねぇ、左文字さん、
こういうときって綺麗だっていっておくべきなんだよね？
俺って月が綺麗なのかどうかわからないから、何を言えばいいのかわからなくって、
ねぇ、左文字さんはこれ、綺麗だと思う？ 思うなら俺もそう思う」
「・・・そうですね。
綺麗だと、お伝えしておいて損などないのでは？
誰であれ美しいと言われて嫌がるものなど、おりますまい・・」
「あ、だよね！ じゃ、
"お月様みたいで綺麗ですね、あなたの三日月さん！" 」
研修生審神者は次に、女審神者へと視線を向きかえて、
俺ではなく女審神者に、俺への賛美を投げかけた。
――女は上機嫌に、鼻先をつんとあげた。
「ふふ、そうでしょう。
大事な私の近侍。手を出したら怒るわよ」
釘を刺す女に対し、俺は特に何も言わない。
――言わなくても、俺を見れば、
――俺を見てからは大抵、誰であれ俺を意識する。
そう、別に釘をさそうがさすまいが、関係ないのだ。関係ない。
「・・・」
そういえば、これまでの研修生は、
俺に手を出してから、
大体、この女の政府への通達で研修生を外されていた。
(今回は、どの程度続くかな)
感じた何かをすぐに忘れて、
俺はこの先の俺のための遊戯に、心躍らせた。
―――そう
それはあくまで、どこまでも、
「俺の為の遊戯」だった。
＊＊
ミハナが本丸内をあるきまわり、
しばらくして、桜夜らにあてられた部屋が紹介された。
その間桜夜と左文字は、一歩たりとも、広間から出ていない。
時折ちらほらと顔をのぞかせる刀剣らは、
――何故か誰もが二人を前に、じろりと、目線きつく睨みをきかせる。
「・・左文字さん」
自室だと案内された部屋に荷物を置きつつ、
一歩置いた背後にひかえる左文字に声をかける。
左文字は小さく、はい、と呟き答えると、
すぐ傍まで歩み寄り顔を寄せた。
「ここの刀剣男士、妙だよね」
「・・そうですね・・
何やら、我々に対しての、ただならぬ警戒心を感じます・・」
「・・だよ、ねぇ・・」
―――奇妙な話である。
なんの脈絡もなく、前兆もないまま、
警戒心をむき出しにする、あからさまな敵対。
―――ことは、三日月宗近だけでは、済まなさそうだった。
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・！いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます！ (2015年12月7日 7時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・！ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね！ありがとうございます！ (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています！これからも頑張ってください！ (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました！三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年9月25日 22時
