49.ベルモット 降谷side ページ50
誰もいない殺風景の部屋。
電話越しに聞こえるのは女性の声。
《じゃあ計画通り頼むわよ。バーボン》
毛利探偵事務所のパソコンから、組織を抜け出したシェリーが近々運行予定のベルツリー急行に乗る事を突き止めた。
その事を先日ベルモットに報告し、ジンにその情報をリークした後でシェリーの殺害計画の連絡が来た。
「ご心配なく。」
そう言えば彼女は満足そうに笑みをこぼす。
…今なら聞いても問題ないか…?
この前コナンくんを人質にした犯人を捕まえた時、電話を切る直前にAが口にした名前。
【またねーークリス。】
思わず彼女の腕を掴んでしまったが、その時もポアロで話をした時も、その事について聞くことが出来なかった。
聞き方次第では、Aをまた悩ませてしまうかもしれない。
もしAの言ったクリス、その名がベルモットの女優としての名前であるクリス・ヴィンヤードを指すものなのだとしたら非常にまずい。
「そう言えば…以前の事件の時に工藤Aがクリスと言う人物と仲良く電話をしていましたが、もしかして貴女の事ですか?」
《…そうだったとしたら、貴方にとって都合の悪いことでもあるのかしら?》
含みのある返答に、やはり何か関係がある事を察する。
「いいえ?ただ単に興味があるだけですよ。表舞台から退いたはずのクリス・ヴィンヤードと繋がりのある彼女にね。」
これはある意味本音だ。
ベルモットとしての交友関係は別として、一体どのような繋がりがこの2人にあるのか。
《…彼女に取り入るのはやめなさい。私の愛しい女神なんだから。》
「…ほぅ」
女神、か。
どうやら彼女からしても、Aは傷付けられたくない人物の1人のようだ。
それなら降谷零としても好都合。
《彼女には昔助けられただけの仲よ。貴方の好奇心を満足させるほどの大きな情報でもないわ。》
案外サラッと教えてくれたものだ。
余程バーボンとして自分がAに近付かれるのが嫌なのか。
まぁでも彼女を傷付けたくないのは同意見の為、今後はベルモットの事も利用させてもらおう。
「それなら確かに彼女の利用価値はなさそうだ。彼女には手は出しませんよ。」
《…下手な真似したらあの世行きよ。》
何とも物騒な忠告と共に通話が切られる。
…本当に助けられただけかは疑わしい部分だが、これ以上の深入りはしない方がいいな。
一先ずベルモットがAに手を出すことはないと分かった。
安堵の息を吐いてから、計画の為の拳銃を手に取った。
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時