47.佐伯先生 ページ48
零くんの事を知ってから数日。
抱いていた疑問も解消されて、以前よりも仕事に打ち込むことができていた。
『…は?赤井さんに正体がバレた?』
《……多分》
午前中のオペを終えて食堂で休憩していた時、珍しく新一くんから連絡が来たと思えば思わぬ爆弾を落とされた。
聞けば、蘭ちゃんに変声機を使って電話しているのを見られたかもしれない。
……いや何やってんの!?
『赤井さんだからよかったものの…!』
《で、でも確実にバレたってわけじゃ…》
電話越しにそう言うが、話してもらった内容を聞けば確実に赤井さんは気付いてる。
彼が協力者だからよかったけど……
『はぁ…今後は気を付けなさいよね。推理に夢中になると立場を忘れて調子に乗っちゃうのは、優作さん譲りなんだから。』
そう言えば新一くんは渋りながらも返事をした。
どうやら心当たりはあるらしい。
「あ、いたいた、工藤!」
『あっ佐伯先生…じゃあ無茶しないことね。』
背後から聞きなれた佐伯先生の声がしたので咄嗟に簡単な言葉だけ言って通話を切る。
「お、彼氏と電話中だった?」
『違いますよ!相手はただの親戚です。それに私彼氏いませんし。』
「マジで!?じゃあいい男紹介してあげようか?」
『今は仕事一筋でいくので大丈夫です。』
「えぇ〜工藤モテるのにもったいない…」
というか、いい男紹介してあげるって…佐伯先生新婚じゃなかったっけ…?
今まで勉強ばかりだったから、自分がモテるなんて思った事はない。
『そう言えば佐伯先生、今日もう上がりじゃないですか。』
「うん、もう上がり。ただ工藤に頼みがあってさ〜」
『頼み?』
患者の受け持ちの話だろうか?それともオペの執刀?
それが顔に出ていたのか、佐伯先生は笑顔で「あ、仕事関係じゃなくて」と言う。
「実は私ミステリーとか好きでそう言うイベントによく参加してたんだけど、今度行くはずのイベントの日にオペが入っちゃって…」
『もしかして珍しく有給とってたあの日ですか?』
他の先生たちにも「この日は絶対に休むから!!」と血眼で言っていたのを思い出す。
なのにその日にオペ?
「そうよ…何日も前からスケジュールを立ててイベントに参加する準備も万端だったのに……あの転院してきた患者が、執刀医は私がいいって…」
机に顔を伏せながら話す佐伯先生のその言葉に、ぱっと1人の患者が思い浮かぶ。
『ああ…あの巨大な子宮筋腫の……開腹しか無理なんでしたっけ?』
私の問いに静かに頷く佐伯先生。
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時