33.探偵たちの夜想曲 ページ34
扉を閉めた安室さんは、私たちに振り返り人差し指を立てて口に持っていく。
「皆さんお静かに」
「「ん?/え?」」
唐突に言われたその言葉に、階段を降りようとしていた蘭ちゃんと小五郎さんは不思議そうに安室さんを見る。
「恐らくこういう事ですよ。依頼人を毛利先生に会わせたくない人物がいて、場所変更の偽メールで先生を追い払い、空になった探偵事務所でその人物が事務所の人として依頼人と落ち合ったんです。」
「「え!?」」
思ってもみなかったその安室さんの説明した内容に声を上げる2人。
私は思わず2人に「シッ」と注意する。
「その証拠に、このドアの鍵穴には鍵をこじ開けた痕跡もあるし、台所の食器棚の中に僅かに濡れたティーカップが入っていました。」
『安室さんの言う通り。蘭ちゃんの性格的に、カップを洗った後に拭かずに戻すなんて事しないでしょうし。それに事務所を出る前に小五郎さんがテーブルに落としたタバコの灰も綺麗にされていた。私たちがコロンボで依頼人を待っている時に、その人物が何も知らずに訪れた依頼人をもてなしていた証拠よ。』
「で、でもなんでそんな事…コインロッカーを探して貰いに来ただけなのに…」
「そのロッカーにとんでもないもんが入ってるんじゃ…」
その人物の目的が分からずに困惑する2人に、安室さんはドアノブに手を掛けて冷静に話す。
「さぁ…それは、本人に聞いてみましょうか。」
その言葉と共に開けられた事務所の扉。
安室さんの言葉はその事務所の中に向けられている。
「ほ、本人って…」
「まさか…!!」
言葉の意味を理解した2人に、安室さんと新一くんが説明する。
「先生がトイレに入ろうとした時に、ちょうど返信が来ましたよね?そしてコナンくんがトイレに入ろうとした時も。」
「それにトイレの前の床にさぁ、何かを引き摺ったような痕が付いてたよ。」
「「え!?」」
「そう、恐らくその誰かは何らかの理由で依頼人を連れ込み、まだ隠れているんですよ。あのトイレの中にね。」
一体何の理由があるかは知らないけど、これは立派な犯罪。
色んな罪状がありそうなその誰かさんには詳しく説明してもらわなければ。
だけど、その場の全員の視線がトイレに集まったその時に、事態は一変した。
バアンッ!!
『「「「「!?!?」」」」』
トイレから響いた音。
我に返った時には、新一くんが走り出してそのトイレのドアを開けていた。
新一くんに続いて私も小五郎さんたちと中に駆け込んだ。
『!?』
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時