16.ウェディングイブ ページ17
「な、なんだとテメェ…!!」
あの店員さん、彼が話し出した内容に伴場さんはつっかかる。
だがさらにその後ろで、サングラスをしている男性も話し出す。
「ふっよく言うぜ。愛しい女が誰かのものになっちまう前に殺したんじゃねぇのか?ウェイターさんよ。」
愛しい女?
店員さんと初音さんがそう言う関係だったってこと?
疑問符を浮かべる警部さんたちに、伴場さんは言い放つ。
「自分で言わねぇなら、俺が言ってやるよ……こいつはなぁ!!初音とコソコソ密会してた愛人なんだよ!!」
恨みの籠った伴場さんの表情と言葉に、警部さんたちを始めとするみんなが戸惑いの声を出す。
そんな彼らに対し、店員さんは意味ありげに笑みを浮かべてそのメガネに手を掛けた。
「そりゃあ会ってましたよ。何しろ、僕は彼女に雇われていたプライベートアイ……探偵ですから。」
『!?』
「た、探偵……!?」
横で新一くんが目を見開いで驚いている。
でも私は、彼が探偵であることよりも……
『……れ、い…くん……?』
17年前、イギリスに引っ越す直前まで一緒にいた彼の姿に……目の前の探偵だと名乗る彼がそっくりだった事の方が、何よりも驚いていた。
褐色の肌に、綺麗な金髪、ちょっとタレ目な青い瞳も…全部記憶のまま。
驚きで目を見開いていれば、彼は自分の事を「安室透」と名乗った。
た、他人…なの?
こんなにそっくりなのに……。
私が呆然としている最中にも、彼らを中心に会話はどんどん進んでいく。
「おかしいじゃねぇか!初音に雇われた探偵が何で俺と初音の結婚パーティの店で、偶然ウェイターをやってんだよ!」
「偶然ではありませんよ。僕がアルバイトとして採用されたこの店を、パーティ会場に選んでもらったんです。」
「でも一体何のために…!?」
「もちろん、あなたの動向を監視する為ですよ。」
どうやら安室さんは、浮気性の伴場さんに他に恋人関係にある人物がいないか調べて見張って欲しいと初音さんに頼まれたらしい。
けれど、彼が本当に依頼を受けていたのか真偽はわかり得ない。
そう思ったが、サングラスの男性が安室さんが身辺調査の途中経過を初音さんに報告する場に居合わせたと言う。
安室さんがそう言えば、サングラスの男性は若干狼狽える。
警部さんが男性に聞けば、代わりに答えたのは安室さんだった。
「おそらく、彼もまた探偵なんでしょう。依頼主は新郎である伴場さん。」
…そう言う事。
お互いが疑い合って、探偵を雇っていたのね。
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時