神にサイコロは振らせない (ページ6)

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じゃこページ6

私は正直、自分は師に向いていないとはっきり思う。
思え返すまでもなくきっと弟子である赤髪の砂利に対しての所行は酷かった。
他人に聞けば十人中十人は解放しろと言われるだろう。知らないが。

砂利の頃を懐かしみながら赤髪がそう言っていたのだしきっとそうなのだろう。

今日も昨日と一昨日と同じように稽古…という名のほぼ一方的な組手をしていた時の事。
朝に言い合いになった時に砂利に嫌な火を点けてしまったようで
中々に休もうとせず、髪のみならず綺麗な顔面もトマトの様に真っ赤になっても
やめようとせず、流石に私も見かねて声をかけた。

「おい、赤髪。もうへばりそうなら休め」

成り行きでとった弟子は誰に似たんだか、
随分と頑固で我儘で手放したくなくなるほど愛らしい。

戦闘以外じゃあ教えた私より料理以外全てうまくこなすこのばかは
私と相性が悪いのかよく言い合いになって、年齢は結構離れているのに意地を張りあう。
争いは同じくらい力を持たなければ怒らないとはよく言うもので
随分砂利らしからぬ砂利。

「いえ、ヨドししょー、俺はまだいけます。」

不器用なせいで手加減も容赦もろくにできず毎回ぼろぼろになる赤髪の姿。

それでも私のことをヨドししょーと随分くすぐったい名で呼び慕う。
大丈夫な範囲の無理をする様子を何度も見過ごしていたのだが
今回は流石にもう大丈夫じゃなくなっている。

食らいつこうと必死にもがくのはいいのだが砂利はつぶれてほしくない。

「ばかたれ、自分の状態をよく見ろ。それとも半年動けなくなりたいか」

ぺしりと頭をはたいてやってにらみつける。
痛かったのか怖かったのか少し涙目になりながら
徐々に顔を下げていく赤髪に内心どうしてものかと思っているうちに
ぼそりと落とされた声。

「それはいやです」

「じゃあ、今日はもう終わりな」

そういいつつ私は赤髪の赤い髪の毛をわしゃわしゃとこねくり回す。
どこか不服そうに顔をゆがめつつもどこかまんざらでもなさそうで、
その上、顔に別の赤さが増したのには眼をつむる。

「はい」

とぼとぼと帰路に就く私たちを見守るように
その日の太陽はやけに優しかったきがする。

「…ちりめんじゃこ」

ふと、ぐしゃぐしゃになった赤髪の髪を見て
小さく浮かんだ昔ハマってたものが浮かんで小さくつぶやいたその斜め前。
びくっと反応した赤髪の砂利は叱られた後に声をかけられた砂利のように
ゆっくりとぎこちなく振り向いたのだった。