溺れる花びら【進撃の巨人】 (ページ3)

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考えをページ3

アニはこの足の踏み場もない部屋に戻った。
　
　さっき廊下でマルロにお願いしたのはヒッチから貰ったとても苦い紅茶の消化を手伝ってもらうためだった。ヒッチは何かしら適当な理由をつけてもとからアニに紅茶をあげるよつもりだったんだろう。
　
　それより部屋が汚い。せっかくのピンクのカーペットが台無しだ。アニはやることがあるのにと思った……どうせヒッチの書類の片付けだが。仕方ないと窓を開け動くアニ。

　床にはさっきヒッチが使っていたであろう髪の毛まみれ“ピンクブラシ”が転がっていた。これはヒッチのお気に入りだったはず。ヒッチの大事基準が分からないアニだった。

　髪の毛まみれのピンクブラシをヒッチのデスクに置く。ふと横を見れば誇りまみれの本に挟まれクシャクシャになってった手紙が間から落ちてきた。アニはクシャっと音をたて手紙を手に取った。

そこには。

“ベルトルト・フーバー”と書かれていた。
手紙の内容は任務の事や“あっち”の愚痴は書かれてない。アニを心配する事が書かれていた。それよりヒッチがこれを勝手に見てた。アニはこれの手紙に任務の事が書かれてたと思うと背筋がゾッとした。

｢…あいつ、変わってるねこんな私を心配するなんて｣

　なぜかアニは少し寂しくなった。ただ黙々と作業をしてた手も止まった。何故か少し先の未来が怖くなった。自然と手が震える。

｢少し、寒いや｣

アニは窓を閉めた。“また”自分を騙した。アニはそれを知らないように掃除を再開した。

　手を進めると一通り移動できる範囲ができた。この範囲内で書類を消化しよう。アニは硬い椅子を引き座った。

　憲兵団は少し楽だと思ってた。だけど先輩に仕事を押し付けられるとは思わなかったアニはペンを小さめの瓶に入ってるインクに浸ける。
こうなれば意地でも“ジャン・キルシュタイン”を連れてきて道ずれにするんだったと後悔するアニ。

　アニは書類を進めるとふと思った事がある。
　
｢…調査兵団、か、そういえば…｣

　アニはジャケットの胸元にあるポケットからハンカチを取り出した。

｢これ、ミーナに借りたままだったね…｣

　ミーナ。ミーナ・カロライカはアニとは親しくしてた。ミーナは調査兵団志望だった。だが、訓練兵団、駐屯兵団によって行われた“巨人掃討作戦”によって命を落とした。

　アニはハンカチをぐっと握りしめポケットに戻した。