溺れる花びら【進撃の巨人】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:1,579 hit

花びらページ1

自分が助かりたいからじゃない。そもそも私は生きる意味を探したかったんだ。

それだけだ

　憲兵団に入って初めての休日。食堂のテーブルに置いてあったティーカップに淹れてあった紅茶に風に踊らされた花びらが浸る。

　アニは硬い椅子に座り、窓から差し込む光に照らされている。

　アニは憲兵団の食堂は少し洒落ているだろうと思っていたが……訓練兵団の食堂とはそれほど変わらない。変わったのは床や壁が石レンガになったのと、少しの装飾を施した窓だった。

　そんな食堂の変わった部分を考えていたアニは花びらが浸ってる紅茶を口に入れる。…苦い。この紅茶は同室の“ヒッチ・ドリス”に貰ったものだ。何も無愛想なアニにぴったりとの事。ここはアニのお気に入りの窓際のテーブル、ちょうど、そよ風が吹いてていい気持ちだ。ヒッチから言われた事は忘れ楽に過ごした。

　…だけどアニは満足感に満たされなかった。そう。やることが無いのだ。／読者／お茶会／友達／お洒落／なんてキーワードはアニの頭にはなかったのだ。

　だからこうして兵服を来ている。もし皆に｢何で兵服来てるの？今日は休日でしょ｣なんて聞かれたら外に見回りに行くだけだと答えるつもりだ。結局はサボるのだが。

　大体、アニには女子の理屈がわからなかった。
／お洒落／可愛い／男子／というキーワードはアニにとって気にかける必要性０だったのだ。そんなのなくたって生きていける。いくらこれが女子に必要不可欠だったとしてもアニは違かった。
あの“猛獣”もそうでしょと思った。

　キーワード１／お洒落／アニは考えた。もしヒッチに実はこの“パーカー”が気に入ってるとでも言ったらバカにされるだろう。それ以外に何があるんだとアニは思った。
町でたまたま見かけたものを気に入れば金を払う。お洒落に必要不可欠／スカート／ワンピース／リボン／などにあんな高価な金払える訳がない。

　キーワード２／可愛い／アニにとっての可愛いは動物だった。例えば猫。これだけが可愛いとアニは思った。

　キーワード３／男子／こちらはどっちにも負けない位で興味がない。あるとすればこの人は顔が整っていると思うだけだろう。キーワード／男子／は友達とは違う気がする。やっぱりヒッチは男子が好きなんだろう。アニは確信した。

　アニは色んな事を思った。だがやっぱり静かにした方が一番だと思った。

　アニは花びらが乗った半分残ってる紅茶をテーブルに置いたまま食堂を去っていった。