七話 犯人 ページ9
『私を殺して恨みを晴らして下さい。
その代わり、その人達は開放して、今後 探偵社に手を出さないで下さい』
「己の命が惜しくないのですか」
『惜しいですよ。勿論、死ぬのは怖いです。
やっと自分に合った居場所が見つかったと思えば、こんな誘拐犯に殺されるなんて、とても悔しい
私って、何も手に入れられないのかな』
嘘は言っていない。でも今大切なのは、自分の命よりも探偵社とこの三人の命。
かといって、生きたい人を殺さないと犯人の恨みも晴れないから、ここで悔しがって怖がるフリをしないと納得しないはず。
「そうかですか、まあいいでしょう。但しただ殺すだけで僕の恨みは晴らせませんよ。』
『と、言うと?』
「貴方には苦しんで死んで頂きます。それでも、この交渉を行いますか?」
『はい。だからその三人を解放してください』
「…そういうお前らの偽善くさい所、大っ嫌いだよ
貴方たちはもう帰っていいですよ。でもこの事は誰にも言わないで下さいね。もし言ったら、貴方たちの家族を殺します。」
なんて凶悪なんだ。こっちこそ大っ嫌いだよ。
「それじゃあ、始めましょうか。先ずはそうですねえ死なない程度に銃弾をぶち込んでみますか?」
いつもなら、異能力で銃を消せばいいけど、それじゃ意味が無い。
「五、四、三、二、」
カウントダウン、数が減るたびに緊張が走る。
「一」
バンッ
───────
───
─
『……あれ?』
「はぁ………………俺だ。」
『えっ、国木田さん?何で?』
真逆 国木田さんがそんなに悪い人だとは思ってなかった……
「言っておくが、今のは演技だ。俺はこんな真似しない」
『そ、そうですよね、、
えっ、そうなんですか?』
「そうだ。」
『じゃあ、あの三人は?』
「ほら来い!終わったぞ!」
そして入ってきたのは……
『えっ、なんで?』
与謝野先生と賢治君とナオミさんだった。
「人質とは、全く酷い扱いだねェ」
「大丈夫でしたか?」
「Aさん、とてもかっこよかったですわ!」
『どういうこと???』
「武装探偵社では必ず、新人に抜き打ちで探偵社員に相応しい心を持っているかの入社試験をするんだ」
『それが、今のという訳ですか』
「ああ、そして、この様子を社長もご覧になっている。」
『えっ!?』
「社長、どうでしょうか」
「青柳Aを、探偵社員として認める。」
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作者名:まくら枕 | 作成日時:2021年7月11日 17時