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三話 其の少女は ページ5

──太宰side──


『織田作之助さんを知っていますか?』


突然の名前に思考が停止する


『えっと、やっぱり間違いでしたか?』

「ああ、ごめん、知っているよ、私の大切な友人だ」

『そうなんですね!実は、低学年まで私を預かって
 いてくれたのは織田さんなんですよ』


織田作の養っていた子は皆殺しにされたはず。この子が生きていると言う事は、あれより前に別れたわけだ。


「Aちゃん、今 織田作が何処にいるか、知ってい
 るかい?」

『いえ、知りません。連絡の手段を持っていなかった
 ので。連絡先くらい聞いておくべきでしたね

 今、どうしているんでしょうか』


彼女の目が輝いていた。あまり表情の変化は無いけれど、それでもわかる。
少し前に義理とはいえ両親を亡くしたというのに。

それでも尚、織田作はこの少女を喜ばせられる

だが………
これから話す事でこの輝きを曇らせると思うと、些か心が痛む。


「織田作は…………もうこの世には居ないのだよ」

『………ぇ』


ほらやっぱり、私は輝きを与えられない。


「織田作の事だ、きっと君には仕事について言ってい
 なかったのだろう?」

『仕事、ですか?』

「織田作は、ポートマフィアだったのだよ。」

『ポートマフィアって、織田さんが、ですか?』

「彼には似合わないよね、私もそう思う。
 彼はポートマフィアで数少ない、いや、唯一の

 "殺さずのマフィア"だったんだ」

『"殺さずの、マフィア"。』


少し安心したような目になった。


「織田作が異能力者なのは知ってるかな」

『はい、"天衣無縫"ですよね』

「ああ、それと同じ異能力を持つ者に魅入られてしま
 って、戦いを申し込まれたんだ。戦いという名の
 殺し合いをね」

『それで、織田さんは、受けたんですか』

「勿論最初は断ったさ。だが敵は諦めなかった。
 織田作を戦いの場に上げるために、


 養っていた子供たちを、皆殺しにしたんだ」

『!』

「それで、其奴と殺り合った。織田作は下級構成員だ
 ったが、銃の実力はマフィアの中でも一番だったと
 思うよ。

 織田作は敵を撃った。けど同時に、織田作も撃たれ
 た。私が駆けつけた時には、もう………」

『あの』

「、なんだい?」

『ありがとうございます、教えてくれて。』

「……っ、」


涙目でお礼を言う彼女は、心なしか輝いて見えた。

表情にこそ出ないが、彼女の目は分かりやすいくらいに感情的だ。



『織田さんの、お墓に行きたいです。』

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設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:まくら枕 | 作成日時:2021年7月11日 17時

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