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ー 第三特異点 9 ー ページ10

ーーだが、これ幸い、
ドレイクは笑みを浮かべた。

「アンタたちはアタシらにとって吉兆だ。
みたところ、そこの二人。弓使いと盾使い。
アンタたちも砲弾の一発や二発、平気なんだろ?」
「よ、よくおわかりですね・・!」

次にドレイクの目線はこちらに向く。

「で、そっちの、冬真だっけ?
星見の術師さんよ。
全員を指揮しているみたいだけど・・
アンタは船長(キャプテン)か何かかい?」
「似たようなもの、でしょうか」

回答に迷う秋に代わり、マシュが答えた。

「なるほどね!
ならキャプテン同士、
仲良くしようじゃないか!」
「!」

笑顔のまま差し出された腕。
その手元に、確信した。

「ーーアルジュナ」
「ええ、マスター」
「ん?」

「聖杯です」


秋の目線、
ドレイクが気付いたように、
手元の盃へ意識を向けた。

「おお、
こいつに目をつけるとはお目が高いね。
たまたま拾ったもんだけど、
こんなゴキゲンなお宝は、
他にないんじゃないかねぇ?」

脇のほうから、
海賊の一人がドレイクの武勇伝を語ってくれた。

どうやらこの聖杯を持っていた者を、
彼女が討ち果たしたようだ。

「ど、どうやらこの時代、
一度は人理が崩壊しかけていたようです!
それをドレイク船長が解決してしまった!

その結果、この時代を救ったことで、
かつての冬真さんのように、
彼女は聖杯に選ばれ、
本当の意味で、
聖杯所有者になっているーー!」

慌ただしくマシュが語る。
同時に彼女はロマ二を呼び出した。
通信が再開される。

『済まないが後にしてくれないか?
どうも探索プログラムの調子が悪くてね。
何故か君達の目の前に聖杯の反応がーー』
「あります!聖杯!目の前に!」
『なんだとぅ!?』

(・・いや、違う。・・これは、ーー・・)

彼女と話し、
聖杯を回収しようとするマシュを止めた。

「マシュさん、ロマ二さん、
恐らくですがこの聖杯、
回収しても人理修復は解決しません」
「え?」

マシュが瞬く。

「多分、この聖杯は、
この時代に元々存在した、
本来の聖杯かもしれません。

アルジュナいわく、この聖杯、
フランスのものと比べて、力が弱いんです」

『なるほど、確かに、
聖杯が譲渡された今も、
時代のボルトは外れたままだ。変化はない。
そういうことなら可能性が高いね』

ーーこの海がそこまで荒れている理由。

それは、相反する二つの聖杯が、
拮抗しているのかもしれないと。

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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時

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