ー 第三特異点 10 ー ページ11
ーー結局、解決策は一つだ。
「ではやはり、
レフの配置した聖杯を確保するしかありませんね」
『済まないが、そうなるね』
そして正しい所有者たるドレイクの望み。
それは恐らく叶えられ続けている。
それこそ、まさに自分の持つ、
この聖杯と同様に。
「ドレイク船長、問題ありません。
我々は、こういった事態を解決するための存在です」
ドレイクに向きなおった。
受け取った聖杯は、再び彼女へと返した。
「ドレイク船長、
これはあくまで予想に過ぎませんが、
この海にはあらゆる財宝が存在するかもしれません」
「なんだって？そいつは本当かい？」
ええ、と。
他のカルデア勢が、
空気を読んで黙っているのをいいことに、
秋は語り続ける。
「ここは要するに、
�牾ぢ韻�財宝を求める大航海時代�瓠ΑΑ�
そういった概念がある以上、
必ず存在するはずです」
そしてその言葉は、
フランシス・ドレイクにとって何よりも嬉しかった。
「よっしゃ！なら呑むよ！野郎共！
明日からの航海は、
これまでにないような危険があるが、
同時に、これまでにないような、
美味い酒や未知への冒険が！
アタシたちを待ってるんだ！」
叫んだ彼女をのぞく海賊たちが、
乾杯！ と、一斉に声を上げた。
ーーさぁ。やる気は充分のようだ。
『・・・冬真君さ、
君、やっぱりいい性格してるよね』
「さて。なんのことでしょう」
そう話すロマ二の溜息は、やけに深かった。
・
・
ーー船長、ドレイクの、「出航だ！」の声と共に、
船は荒々しい哮りに震えた。
確認と称し、景気付けに大砲を一発。
マシュが、走り出した船の欄干にもたれ、
眺めるように見渡している。
「ーー陸続きだったアメリカとは、
また随分と違うね」
「ええ。見渡す限りの大海原、
私もはじめて目にしました。
美しいものです」
アルジュナもまた、
眺めるように海原を見つめている。
「・・・アメリカは退屈だった？」
彼の目線は海原に固定されたまま動かない。
よほど気に入ったのだろうか。
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作者名：遊藍 | 作成日時：2019年5月4日 21時
